AI Expanded Access と Gemini Enterprise の違いとは?中小企業はどちらを選ぶ【2026年版】
「Google の法人向けAIを契約したいけれど、AI Expanded Access と Gemini Enterprise という似た名前のものが出てきて、どちらを選べばよいのか分からない」——そんなご相談が増えています。どちらも名前に「Gemini(ジェミニ)」が付き、法人向けという点も同じなので混同されがちですが、実は役割がまったく違うサービスです。
この記事では、中小企業の経営者・情シスご担当者に向けて、2つの違いと選び方を、できるだけ専門用語を使わずに整理します。2026年に入ってからの料金・提供範囲の変更点もふまえて解説しますので、契約の判断材料としてお役立てください。

結論:「利用枠の拡張」か「全社のAI基盤」か
先に結論からお伝えします。2つの違いは、ひとことで言うと次のとおりです。
AI Expanded Accessは、すでに使っている Google Workspace の中で、AI機能を「もっとたくさん使えるようにする」追加アドオンです。あくまで Workspace の延長線上にあります。
Gemini Enterpriseは、Workspace を使っているかどうかに関係なく導入できる、会社全体の「AI業務基盤」です。社内に散らばった資料やデータをAIに横断的に扱わせたり、自社専用のAI(エージェント)を作ったりできます。
つまり、「Workspace のAIを強化したい」のか、「会社全体でAIを業務に組み込みたい」のかで、選ぶものが変わります。以下で順番に見ていきましょう。
AI Expanded Access とは(Workspaceの中のAIを”もっと使う”アドオン)
AI Expanded Access は、Google Workspace(Business / Enterprise の各プラン)に追加できるAI利用枠の拡張アドオンです。価格の目安は1ユーザーあたり月額20ドル程度(為替により概ね3,000円前後)です。
このアドオンを付けると、ふだん使っている Workspace の各アプリの中で、AIをより多く・より高度に使えるようになります。具体的には次のような中身です。
- Gmail や Google ドキュメント、スプレッドシートの中でのGeminiによる文章作成・要約
- Google スライドでの画像生成、Google Vids での動画生成の利用枠の拡大
- 調査・資料整理に使える NotebookLM のより大きな利用枠
- 定型作業を自動化する Workspace Studio の実行枠
ポイントは、あくまで「Workspace を契約していること」が前提だという点です。Workspace を使っていない会社は、このアドオンだけを単独で契約することはできません。
2026年の変更点:3月から必須化、7月にFlowが対象外に
2026年に入って、Workspace のAIまわりの提供方法が変わりました。中小企業に関係するポイントは2つです。
1つ目は、2026年3月1日以降、Business・Enterprise プランで高度なAI機能を引き続き使うには、この AI Expanded Access の契約が必要になった点です。これまで一部含まれていた高度な機能を継続して使いたい場合は、アドオンの追加を検討する必要があります。
2つ目は、2026年7月7日から、AI Expanded Access に動画制作ツール「Google Flow」が含まれなくなる予定という点です。Flow を業務で使っている場合は、代替手段の検討が必要になります。なお、最新の提供内容や価格は変更されることがあるため、契約前に必ず公式情報での確認をおすすめします。

Gemini Enterprise とは(Workspaceに依存しない全社のAI業務基盤)
一方の Gemini Enterprise は、Google が提供する会社全体向けのAIエージェント基盤です(以前は「Google Agentspace」と呼ばれていたものを含む位置づけです)。単なるチャットAIではなく、社内の業務にAIを組み込むための土台、とイメージしてください。
価格の目安は1ユーザーあたり月額21〜30ドル程度(エディションや契約形態によって異なります)です。こちらも料金は変わることがあるため、最新情報の確認が必要です。
社内データの横断活用と、ノーコードでのAIエージェント作成
Gemini Enterprise の特徴は、大きく2つあります。
1つ目は、社内外のデータを横断して検索・活用できることです。たとえば「就業規則のこの点はどうなっている?」と聞くと、社内に保管された資料を探して答えてくれる、といった使い方ができます。このとき、利用者ごとのアクセス権限を自動的に考慮し、閲覧権限のない資料は検索対象から除外されるため、情報漏えいのリスクを抑えながら社内ナレッジを活用できます。
2つ目は、プログラミングの知識がなくても、業務に特化したAI(エージェント)をノーコードで作れることです。社内規定をまとめたFAQ対応のAIや、問い合わせ対応を補助するAIなど、自社の業務に合わせたものを用意できます。
そしてもう一つ重要なのが、Google Workspace を使っていない会社でも導入できる点です。Microsoft 365 を中心に使っている会社でも、社内データと連携させて活用できます。2026年4月には政府機関向けのセキュリティ評価制度「ISMAP」への登録も完了しており、官公庁・自治体での採用も進みつつあります。
何が違う?比較表で整理
ここまでの内容を表にまとめます。「どちらが上位版か」ではなく、そもそも目的が違うという点に注目してください。
| 比較項目 | AI Expanded Access | Gemini Enterprise |
|---|---|---|
| 正体 | Google Workspace のAI利用枠の拡張アドオン | 全社向けのAIエージェント基盤(旧Agentspaceを含む) |
| 利用の前提 | Google Workspace(Business/Enterprise)の契約が必要 | Workspace不要。M365中心の会社でも導入可 |
| 価格の目安 | 1ユーザー 月額20ドル程度 | 1ユーザー 月額21〜30ドル程度(エディション別) |
| 主な中身 | Gmail・Docs・スライド・Vids内のGemini、NotebookLM、自動化の利用枠拡大 | 社内データ横断検索、権限を考慮した安全な活用、ノーコードでAIエージェント作成 |
| 向いている会社 | すでにWorkspaceを使い、日常業務でAIをもっと使いたい会社 | 社内データの活用や業務専用AIを全社で進めたい会社 |
中小企業はどちらを選ぶ?判断の目安
「結局うちはどちらを選べばいいのか」を考えるとき、次のように整理すると判断しやすくなります。
AI Expanded Access が向いているケース
- すでに Google Workspace を使っている
- まずは社員一人ひとりの「日々の作業」をAIで効率化したい(メール作成、議事録要約、資料づくりなど)
- 2026年3月以降も高度なAI機能を継続して使いたい
Gemini Enterprise が向いているケース
- 社内に散らばった資料・データをAIに横断的に検索・活用させたい
- 問い合わせ対応や社内FAQなど、自社専用のAIを作りたい
- Microsoft 365 中心など、Workspace を使っていない環境でも全社的にAIを使いたい
多くの中小企業では、まず Workspace の AI Expanded Access で「日常業務の効率化」から始め、社内データ活用や自動化のニーズが高まった段階で Gemini Enterprise を検討する、という順序が現実的です。いきなり大きく契約せず、目的を絞って小さく始めることが、費用対効果を見極めるうえで大切です。
補助金で導入コストを抑える
こうしたクラウド・AIツールの導入は、デジタル化・AI導入補助金などの対象になる場合があります。月額の利用料だけを見ると負担に感じられても、補助金を活用することで、初期の導入コストを抑えながら社内のデジタル化を進められるケースがあります。
ただし、補助金の対象範囲・金額・申請要件は制度や年度、申請内容によって変わります。「自社の場合は何が対象になるのか」「どのツールの組み合わせが最適か」は、専門家に相談して整理するのが確実です。
アーデントでは、単なるツール販売ではなく、補助金の活用を前提にしたコスト試算と、業務フロー全体のデジタル化をご支援しています。AI Expanded Access と Gemini Enterprise のどちらが自社に合うか迷っている段階からでも、お気軽にご相談ください。
よくある質問
Q. AI Expanded Access と Gemini Enterprise は両方契約する必要がありますか?
A. 必ずしも両方は必要ありません。目的が異なるため、まずは自社の課題(日常業務の効率化か、社内データの全社活用か)を整理し、必要なほうから始めるのがおすすめです。
Q. Workspace を使っていなくても Gemini Enterprise は使えますか?
A. はい。Gemini Enterprise は Workspace の契約がなくても導入でき、Microsoft 365 中心の環境でも社内データと連携して活用できます。
Q. 価格は今後も変わりませんか?
A. GoogleのAI関連サービスは提供内容・価格の変更が比較的頻繁です。本記事の価格は目安としてご覧いただき、契約前に必ず最新の公式情報、または弊社までご確認ください。
Q. どちらが自社に合うか相談できますか?
A. はい。アーデントでは現在のIT環境と業務課題をうかがったうえで、補助金の活用も含めて最適な組み合わせをご提案しています。下記よりお気軽にお問合せください。
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