GoogleWorkspace導入で、セキュリティ向上するポイントを徹底解説
Google Workspace導入でセキュリティが大幅に向上する理由
Google Workspace(Business Standard)を導入すると、
「アカウント管理」「ログイン認証」「端末管理」「メール対策」「共有管理」「ランサムウェア対策」
これは従来のオンプレミス環境や、個々のPCに依存したフリーメール運用(Gmail個人アカウント、Outlookローカル保存など)と比べ、
組織全体のセキュリティレベルを根本的に引き上げる効果があります。
- 退職者アカウント放置
- ドライブ共有リンクが“誰でも閲覧可能”のまま
- 端末の紛失・盗難の管理ができない
- フィッシング・なりすましメール、ウイルスプログラム添付ファイル対策不足
- ランサムウェア対策
など、“管理しきれないこと”がセキュリティリスクにつながるケースが多く見られます。
Google Workspaceは、こうした問題を標準機能だけで予防できる点が最大の強みです。
はじめに:なぜ今「Google Workspaceでのセキュリティ強化」なのか
中小企業の場合、大企業のようにセキュリティ部門や専任の情シス担当がいないことが多いため、
結果として次のような状況が発生しがちです。
- パスワードをExcelで管理し、更新されない
- 個人のGoogleアカウントに重要データが保存される
- 退職者のアカウントが残ったまま
- 業務データが社内PCにローカル保存
これらはすべて、近年多発している情報漏えい事故の典型的な原因です。
Google Workspaceは、ゼロトラスト思想(信用せず常に検証する)を前提にしており、
アカウント、端末、アクセス権限、ログなどをクラウド側で一元的に管理できます。
そのため、専門チームがいなくても一定のセキュリティ品質を安定して確保できる点に大きな価値があります。
オンプレ+フリーメール時代との違い:Google Workspaceが変えるセキュリティ前提
従来の中小企業では、環境は次のようなものが一般的でした。
- 共有フォルダは社内NAS、設定は現場任せ
- メールはOutlook+各PC内のPSTファイルに依存
- スマホは完全BYODで、管理不能
- パスワードはExcelや付箋に記載
一見すると問題がないように見えますが、実際には以下のような課題が発生します。
- NASのアクセス権限が複雑化し、誰がどこにアクセスできるか不明
- PC故障や紛失でメールデータが消える
- 個人スマホに会社データが流出する
- 強度の弱いパスワードが使われ続ける
Google Workspaceでは、これらのリスクをクラウドで統制できる仕組みが整っています。
「どのアカウントが」「どの場所から」「どんな端末で」「何をしたか」がすべて可視化されるため、
“管理できない環境”から“管理できる環境”へと移行できます。
アカウント管理の強化:ID一元管理と強力なパスワードポリシー
管理コンソールによって、アカウントを一元管理できます。具体的には次のようなことが可能です。
- 強制パスワードリセット
- 退職者アカウントの即時停止
- Drive・Gmailのデータ移管
- パスワード強度を組織全体に適用
特に中小企業で多いのが、
退職者アカウントの放置による情報持ち出し・外部アクセス です。
Google Workspaceでは、アカウント停止・データ移管まで一括で実行できるため、
人的ミスを防ぎつつ、統制の取れた管理が可能になります。
また、パスワードですが、最低でも12文字以上がいいとされています。
詳細はこちら↓

パスワードの最低文字数や複雑な文字指定などのルールを、GoogleWorkspace管理画面で設定ができます。

多要素認証(MFA)で“なりすましログイン”を防ぐ
Google Workspaceでは、
ワンタイムコード または スマホ承認(Google プロンプト)
による2段階認証を適用できます。
これは、「パスワードが漏れても不正ログインは不可能」という状態を作るため、
フィッシング対策として非常に強力です。
特に次のような企業に必須です。
- パスワードを複数サービスで使い回している
- 毎日のようにフィッシングメールが届く
- 海外IPからのログインが不安
2段階認証は導入に抵抗を持つ人もいますが、
“スマホを持ってボタンをタップするだけ”で完了するため、実は運用負荷はそれほど高くありません。
さらに、2段階認証の方法としては、SMSやメールでコードを送信する方法は、ハッカーに破られる方法が発見されており、「パスキー」での2段階認証が最も安全です。このパスキーによる多要素認証を必須にする瀬っても可能です。

端末紛失・盗難対策:PC・スマホ管理で情報漏えいリスクを下げる
Business Plus以上では次のような管理が可能です。
- 業務に利用している端末をすべて紐付けて管理
- 端末紛失時にリモートログアウト
- 不審なログインの即時ブロック
- OSバージョン・セキュリティ状態の確認
特に中小企業では、“私物スマホに業務アプリを入れて使う”BYOD環境が一般的です。
Google Workspaceはアプリ単位で管理できるため、私物端末のプライバシーは守りつつ、
ビジネスデータだけを保護する バランスの良い管理が可能です。
メールセキュリティ強化:迷惑メール・なりすまし・フィッシング対策
Google Workspaceでは、メールサーバーがプランに含まれており、Gmailには、GoogleのAIを活用した強力なスパム・なりすまし検知が標準搭載されています。
| 項目 | 内容 |
| 迷惑メールの自動振り分け | AIによる迷惑メールの振り分けを管理できます。強めに振り分けたり、なるべく受信トレイに配信したりなどの設定が可能です |
| 不審な添付ファイルの自動スキャン(サンドボックス) | メールに添付されているファイルを一度、仮想空間上で、一度開いて、安全であることを確認してから、受信トレイに配信します。これにより、攻撃ファイルをすべて防ぎます。 |
| URLの危険性チェック | フィッシングURLをAIが自動的に判別。怪しいURLが入ったメールは、画面で注意喚起の表示を出します。 |
| SPF/DKIM/DMARCによるなりすまし防止 | なりすまし、改ざん防止していることを送信相手先に伝える設定が可能です |
| 会社で管理する迷惑メールリスト、ホワイトリスト | 1人1人が迷惑メールに振り分けるわけではなく、会社のドメイン単位で、必ず迷惑メールに振り分けるリストや必ず受信トレイに配信するリストを用意できます。 |
これにより、経営者や営業部門で頻発する
「取引先を装った偽メールによる振込被害」 を未然に防げます。
メールサーバーが、HP等で契約しているレンタルサーバーの場合、上記セキュリティはあまり効果が発揮されません。ぜひ、メールサーバーの移行もお考えください。
共有設定の見直し:Driveの権限ミスによる事故を防ぐ
Driveの共有設定は便利な反面、誤設定すると情報漏えいにつながります。
GoogleWorkspaceでは、管理者が次のポイントを統制できます。
- ドメイン外共有を禁止・制限
- 「リンクを知っている全員に公開」を禁止
- ゲストユーザーの活動確認
- ファイル単位で共有期限を設定
特に退職者がアクセスし続ける状態は大きなリスクですが、
管理コンソールで一括確認できるため、すぐに対処できます。
シャドーIT対策:サードパーティアプリとOAuth連携の安全な運用方法
従業員が勝手に外部アプリにGoogleアカウントを接続することで、
データが外部に流出するケースが増えています。
Google Workspaceでは以下のような制御が可能です。
- 許可したアプリだけ接続を許可
- 不審なアプリは強制ブロック
- OAuth連携のログ監視
ChatGPTや外部SaaSを使う際のリスクも管理でき、
企業データの無断持ち出しを防ぎます。
ログ監査とアラート:不審な操作を“見える化”して早期発見する
管理コンソールの監査ログでは、次のような情報を確認できます。
- ログイン履歴
- 共有設定変更
- 外部共有の追加
- アプリ連携
- メール送受信ログ
不審な動きがあれば即アラート通知が可能で、
事故の早期発見に役立ちます。

組織変更・入退社対応:アカウント棚卸しで“幽霊アカウント”をなくす
中小企業の実務では、入退社の管理はどうしても“現場任せ”になりがちです。
Google Workspaceなら、次のような対応をワンストップで行えます。
- アカウント停止
- データ移管
- 端末ログアウト
- ライセンス返却
人事・総務・ITの間での連携ミスが起きにくくなり、
「気づいたら退職者アカウントが半年放置されていた」といった事態を防げます。
バックアップ&ランサムウェア対策:クラウドでも必要な“最後の保険”
Google Workspaceは非常に堅牢ですが、次のような“人為的なミス”までは防げません。
- 従業員が誤って大量削除
- 過去データを上書き
- 社外共有で第三者に消される
そのため、Googleドライブでは、AIによるランサムウェア検知機能が、2025年10月に追加になりました。
これにより、Googleドライブに保存したファイルは、HDDにあるよりも、かなり安全になります。
中小企業で最低限やるべきセキュリティ設定チェックリスト
最低限、次の設定は実施しておくことをおすすめします。
- 2段階認証を必須化
- ドメイン外共有の制限
- 経営者・管理者アカウントの保護
- 退職者アカウントの即停止
- OAuth連携アプリの制御
- 管理者アラートの設定
- 端末管理を有効化
これらの設定だけで、ほとんどのインシデントを予防できます。
導入・運用の進め方:初期設定〜社内展開まで
STEP1:最低限のセキュリティ設定
2段階認証の強制、共有制限など、基本的なセキュリティ設定をまず固めます。
STEP2:メールセキュリティの整備
SPF/DKIM/DMARC設定を行い、なりすましメール対策を強化します。
STEP3:端末管理の導入
業務に使うPC・スマホを把握し、端末管理機能を有効化します。
STEP4:ログ監査のルール策定
どのような操作を監査し、どのレベルでアラートを上げるかのルールを決めます。
STEP5:社内ルールの作成と教育
パスワード運用や社外共有ルールなどを文書化し、従業員に周知します。
Google Workspace導入は、“設定して終わり”ではなく、“運用して強くなる”プラットフォームです。
まとめ:Google Workspaceを“安全に使い倒す”ために必要なこと
Google Workspaceは導入しただけで自動的に安全になるわけではありません。
しかし、管理者設定を正しく行えば、専門知識がなくても
大企業レベルのセキュリティ運用を実現できます。
必要なのは、次の3つだけです。
- 基本設定を理解すること
- 管理コンソールを定期的に確認すること
- 社内でルールを共有すること
これらを押さえることで、Google Workspaceを“便利なグループウェア”としてだけでなく、
企業を守るセキュリティ基盤として活用できるようになります。
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