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【2026年10月〜】最低賃金が全国平均1,177円に|都道府県別の発効日一覧と、給与・勤怠システムで直す場所・業務改善助成金の期限

2026年10月から最低賃金が引き上げられ、給与システムの設定変更が必要になる

2026年(令和8年)10月から、地域別最低賃金が全国で引き上げられます。全国加重平均は1,177円で、昨年度の1,121円から56円の引き上げ。
目安制度が始まった1978年度以降で2番目に高い上げ幅です。

ただ、中小企業の総務・経理の現場で実際に困るのは「いくらになったか」ではありません。
困るのは、都道府県ごとに発効日がバラバラで、しかも半分以上が月の途中に切り替わるという点です。
給与ソフトや勤怠システムの時給をいつ変えればいいのか、同じ月の中で単価が2つある月をどう計算すればいいのか。ここでつまずきます。

この記事では、47都道府県の発効日一覧と、給与・勤怠システムのどこを直すのか、そして「発効日の前日まで」という期限がある業務改善助成金の使い方までを、中小企業の実務に沿って整理します。

先に結論(3行)
① 10月1日に上がるのは47都道府県のうち15だけ。残りは10月2日〜12月2日にバラバラに発効します。
② 時給を直し忘れても、法律上は自動的に新しい最低賃金で契約したことになります(最低賃金法第4条第2項)。直さなかったのではなく、差額が未払い賃金として残るだけです。
③ 引き上げにあわせて設備投資をするなら業務改善助成金が使えますが、賃金の引き上げは「発効日の前日まで」に済ませないと対象外になります。当日に上げると間に合いません。

目次

2026年10月からの最低賃金改定は、何がどう変わる?

厚生労働省は2026年9月3日に、全ての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されたことを発表しました。ポイントを整理すると次のとおりです。

項目 2026年度(令和8年度)の内容
全国加重平均額 1,177円(昨年度1,121円)
引き上げ額 56円。目安制度が始まって以降で2番目の高さ
各県の引き上げ幅 54円〜65円(47都道府県すべてで引き上げ)
最高額と最低額 最高1,280円(東京)/最低1,085円(宮崎)
発効日 2026年10月1日〜12月2日に順次

引き上げ額がいちばん大きいのは佐賀県の65円、次いで鹿児島県の64円、高知県と沖縄県の63円です。逆にいちばん小さいのは東京都・神奈川県・大阪府の54円でした。
金額の高い都市部より、地方のほうが上げ幅が大きいのが今年の特徴です。

厚生労働省「全ての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました」 ➡

10月1日に上がるのは15都道府県だけ|発効日の一覧

ここがこの記事でいちばんお伝えしたいところです。
ニュースでは「10月から最低賃金が上がります」と報じられますが、実際に10月1日に発効するのは47都道府県のうち15だけです。

発効のタイミング 都道府県の数 具体例
10月1日 15 東京・神奈川・大阪・愛知・埼玉・千葉・北海道 など
10月2日〜10月31日 22 長野10/2・群馬10/3・福岡10/4・秋田10/14・静岡10/15 など
11月 7 山梨・徳島・愛媛・大分11/1、長崎11/2、佐賀11/15、京都11/16
12月 3 岩手12/1・熊本12/1・沖縄12/2

つまり、東京の会社は9月中に準備を終える必要がある一方、沖縄の会社は12月2日まで時間があるということです。
同じ「10月改定」でも、社内のスケジュールはまったく別物になります。

47都道府県別の改定額と発効日

自社の事業所がある都道府県の行を確認してください。複数の拠点がある会社は、拠点の数だけ行を見る必要があります。

都道府県 改定後 改定前 引き上げ額 発効日
北海道 1,131円 1,075円 +56円 2026年10月1日
青森 1,090円 1,029円 +61円 2026年10月29日
岩手 1,090円 1,031円 +59円 2026年12月1日
宮城 1,098円 1,038円 +60円 2026年10月1日
秋田 1,090円 1,031円 +59円 2026年10月14日
山形 1,092円 1,032円 +60円 2026年10月30日
福島 1,094円 1,033円 +61円 2026年10月16日
茨城 1,136円 1,074円 +62円 2026年10月18日
栃木 1,125円 1,068円 +57円 2026年10月1日
群馬 1,120円 1,063円 +57円 2026年10月3日
埼玉 1,196円 1,141円 +55円 2026年10月1日
千葉 1,195円 1,140円 +55円 2026年10月1日
東京 1,280円 1,226円 +54円 2026年10月1日
神奈川 1,279円 1,225円 +54円 2026年10月1日
新潟 1,108円 1,050円 +58円 2026年10月1日
富山 1,119円 1,062円 +57円 2026年10月1日
石川 1,113円 1,054円 +59円 2026年10月3日
福井 1,112円 1,053円 +59円 2026年10月4日
山梨 1,113円 1,052円 +61円 2026年11月1日
長野 1,117円 1,061円 +56円 2026年10月2日
岐阜 1,121円 1,065円 +56円 2026年10月1日
静岡 1,154円 1,097円 +57円 2026年10月15日
愛知 1,195円 1,140円 +55円 2026年10月1日
三重 1,143円 1,087円 +56円 2026年10月1日
滋賀 1,136円 1,080円 +56円 2026年10月3日
京都 1,180円 1,122円 +58円 2026年11月16日
大阪 1,231円 1,177円 +54円 2026年10月1日
兵庫 1,172円 1,116円 +56円 2026年10月1日
奈良 1,107円 1,051円 +56円 2026年10月4日
和歌山 1,101円 1,045円 +56円 2026年10月3日
鳥取 1,090円 1,030円 +60円 2026年10月3日
島根 1,092円 1,033円 +59円 2026年10月10日
岡山 1,104円 1,047円 +57円 2026年10月2日
広島 1,141円 1,085円 +56円 2026年10月11日
山口 1,101円 1,043円 +58円 2026年10月8日
徳島 1,103円 1,046円 +57円 2026年11月1日
香川 1,092円 1,036円 +56円 2026年10月1日
愛媛 1,093円 1,033円 +60円 2026年11月1日
高知 1,086円 1,023円 +63円 2026年10月29日
福岡 1,114円 1,057円 +57円 2026年10月4日
佐賀 1,095円 1,030円 +65円 2026年11月15日
長崎 1,087円 1,031円 +56円 2026年11月2日
熊本 1,092円 1,034円 +58円 2026年12月1日
大分 1,096円 1,035円 +61円 2026年11月1日
宮崎 1,085円 1,023円 +62円 2026年10月24日
鹿児島 1,090円 1,026円 +64円 2026年10月25日
沖縄 1,086円 1,023円 +63円 2026年12月2日

※出典は厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金額答申状況」です。答申額は都道府県労働局長の決定により正式に発効します。
最終的な金額と日付は、必ず厚生労働省または管轄の都道府県労働局のページでご確認ください。

厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」 ➡

⚠️ 複数拠点がある会社がいちばん事故りやすいところ
本社が東京(10月1日)、工場が熊本(12月1日)という会社だと、同じ社内で切り替え日が2か月ずれます。
給与ソフトを本社の発効日にあわせて一括で切り替えてしまうと、熊本の分は2か月早く上がるだけなので違法にはなりませんが、人件費が想定より先に増えます。
逆に熊本の発効日にあわせると、東京分が2か月間、最低賃金を下回ることになります。これは法律違反です。
対応としては「拠点ごとに切り替え日を管理する」か「いちばん早い発効日に全社をそろえる」かの二択。迷ったら後者が安全です。

発効日を過ぎても直さなかったら、何が起きる?

「気づいたのが1か月後だった」という相談は毎年あります。そのとき何が起きるかを、法律の条文で確認しておきます。

直さなくても、契約は自動的に書き換わる

最低賃金法第4条第2項には、次のように書かれています。

最低賃金の適用を受ける労働者と使用者との間の労働契約で最低賃金額に達しない賃金を定めるものは、
その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、
最低賃金と同様の定をしたものとみなす。

つまり、給与ソフトの時給を直さないまま放置しても、法律上は新しい最低賃金額で契約したことになります。
「設定を変えていないから旧単価のままでよい」という理屈は通りません。実際に支払った額との差額は、そのまま未払い賃金として残ります。

罰則は2種類ある

違反の内容 根拠 罰則
最低賃金額以上の賃金を払わなかった 最低賃金法第40条 50万円以下の罰金
最低賃金の概要を労働者に周知しなかった 最低賃金法第8条・第41条 30万円以下の罰金

見落とされがちなのが2行目です。
最低賃金法第8条は、使用者に対して「当該最低賃金の概要を、常時作業場の見やすい場所に掲示し、又はその他の方法で、労働者に周知させるための措置」を義務づけています。
金額を直すだけでなく、周知も義務だということです。

いまは掲示ポスターだけでなく、社内ポータルやビジネスチャットへの掲示でも「その他の方法」として運用している会社が増えています。
紙を貼る場所がない事業所がある会社は、この機会に社内周知の置き場所を1か所に決めておくと毎年ラクになります。

バラバラの管理から一元管理に切り替える様子をあらわした図

最低賃金のチェックは、時給のパートだけの話ではない

最低賃金は「時給で働く人の話」だと思われがちですが、月給の正社員も対象です。月給を時間額に換算して、最低賃金額を上回っているかを確認する必要があります。

賃金形態別の換算式

賃金の形態 チェックの式
時間給制 時間給 ≧ 最低賃金額(時間額)
日給制 日給 ÷ 1日の所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)
月給制 月給 ÷ 1か月平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)
出来高払制 賃金総額 ÷ その期間の総労働時間数 ≧ 最低賃金額(時間額)

計算に入れてはいけない賃金が6つある

ここが計算を間違える最大の原因です。支給した金額をそのまま割ってはいけません。次の6つは最低賃金の計算から除きます。

除外する賃金 具体例
臨時に支払われる賃金 結婚手当、見舞金など
1か月を超える期間ごとに支払われる賃金 賞与、年2回の手当など
所定労働時間を超える労働への賃金 時間外割増賃金
所定労働日以外の労働への賃金 休日割増賃金
深夜労働への割増部分 22時〜5時の割増分
精皆勤手当・通勤手当・家族手当 この3つは名称どおりに除外
職務手当・役職手当は「除外しない」
上の表にない手当、たとえば職務手当・役職手当・資格手当などは除外しません。最低賃金の計算に含めます。
厚生労働省の計算例でも、通勤手当5,000円と時間外手当35,000円は除くが、職務手当30,000円は含める、と明記されています。
「手当をたくさん付けているから大丈夫」と思っていても、その手当が通勤手当・家族手当・精皆勤手当ばかりだと、計算に入らないので足りなくなります。

厚生労働省「最低賃金額以上かどうかを確認する方法」 ➡

あわせて、次の人たちも見落とされやすいので確認してください。試用期間中の人、研修期間中の人、固定残業代(みなし残業代)を含む給与の人、そして日給と月給を組み合わせている人です。
とくに固定残業代は、割増賃金部分を除いて計算するため、額面の見た目より時間額が低くなります。

地域別最低賃金だけを見ていると足りない3つのケース

ここまでは地域別最低賃金の話でしたが、実務では例外が3つあります。どれも該当する会社は限られますが、当てはまると金額が変わります。

① 特定最低賃金(産業別)が上乗せされている業種がある

鉄鋼業や自動車小売業などの一部の産業には、地域別とは別に「特定最低賃金」が定められている場合があります。対象となる業種は都道府県ごとに違います。
最低賃金法第6条は「労働者が二以上の最低賃金の適用を受ける場合は、これらにおいて定める最低賃金額のうち最高のもの」を適用すると定めています。
つまり、地域別と特定の両方が適用される業種なら、高いほうが自社の基準です。

特定最低賃金は改定の時期も金額も地域別とは別なので、自社の業種が対象かどうかは管轄の都道府県労働局のページで確認してください。対象労働者や適用除外の定めもあります。

② 派遣スタッフは「派遣先」の県の最低賃金で判定する

見落としが多いのがここです。
最低賃金法第13条は、派遣中の労働者について「その派遣先の事業の事業場の所在地を含む地域について決定された地域別最低賃金」を適用すると定めています。

派遣を受け入れている会社が確認すること
たとえば東京の派遣会社から、熊本の自社工場へスタッフを受け入れている場合、適用されるのは熊本県(12月1日発効)の最低賃金です。東京の1,280円ではありません。
逆に、地方の派遣会社から東京の事業所へ受け入れているなら、東京都の1,280円が基準になります。発効日も東京の10月1日です。
支払い義務そのものは派遣元にありますが、単価の前提がずれていると契約更新のタイミングで値上げ要請が来ます。自社の所在地の発効日と金額を、派遣元にも共有しておくとトラブルになりません。

③ 最低賃金の減額特例(許可制)

最低賃金法第7条には減額の特例があります。対象は「精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者」「試の使用期間中の者」「認定職業訓練を受ける者」「軽易な業務に従事する者」などです。

ただし、この特例を使うには都道府県労働局長の許可が必要です。会社の判断で勝手に減額することはできません。
「試用期間だから最低賃金より低くてよい」という誤解が一定数ありますが、許可を受けていなければ通常どおり最低賃金額以上が必要です。

割増賃金の単価も連動して上がる

最後にもう1点。時給が上がると、その時給をもとに計算する時間外・休日・深夜の割増賃金の単価も自動的に上がります。
給与ソフトが時給から自動計算していれば問題ありませんが、割増単価を固定値で登録している場合は直し忘れが起きます。

あわせて、求人サイトの時給表示も忘れずに直してください。最低賃金を下回る金額のまま掲載していると、媒体によっては掲載が停止されることがあります。
応募が止まるだけでなく、応募者からの信頼も失います。

給与・勤怠システムのどこを直すのか

ここからが本題です。最低賃金が上がったときに直す場所は、給与ソフトの時給欄だけではありません。実務で漏れやすい順に並べました。

直す場所 よくある漏れ方 優先度
給与ソフトの時給・基本給マスタ 対象者の絞り込みを間違えて一部が旧単価のまま 最優先
勤怠システム側に持たせた単価 給与ソフトだけ直して勤怠側の概算集計が古いまま 高
固定残業代(みなし残業代)の額 時給が上がると割増単価も上がるので再計算が必要 高
就業規則・賃金規程の金額表記 規程に旧額が残り、助成金申請で指摘される 高
労働条件通知書・雇用契約書の雛形 10月以降に入社する人へ旧額で交付してしまう 高
求人票・求人サイトの時給表示 募集中の求人が旧額のまま残り応募者とトラブル 中
シフト表・スプレッドシートの単価セル 人件費の見込み計算が古い単価で走り続ける 中
派遣スタッフの時給 派遣元任せにしていて、派遣先である自社の県の額を下回る 中

⚠️ 月の途中に発効する県は、同じ月に単価が2つある

今回、月の1日以外に発効するのが26都道府県あります。半分以上です。
たとえば静岡県は10月15日発効なので、10月分の給与計算には「10月14日までの旧単価」と「10月15日からの新単価」が混在します。

やり方 具体的にどういうことか 向き・不向き
期間で分けて計算 発効日の前後で労働時間を分け、それぞれの単価で計算する 法律どおりだが給与ソフトの設定と検算の手間が大きい
給与計算期間の初日から先行適用 その月の初日(または締め日の翌日)から新単価に切り替える 計算が1本で済む。労働者に有利なので法律上も問題ない
当社のおすすめは「先行適用」
発効日をまたぐ月だけ単価を2つ持つと、集計・検算・給与明細の確認がすべて2倍になります。30名規模だと、この1か月だけで数時間の追加作業になることも珍しくありません。
新単価を発効日より前から適用することは、労働者にとって有利な取り扱いなので法律上の問題はありません。
差額は「発効日までの日数 × 対象人数 × 上げ幅 × 1日の労働時間」程度です。20名のパートで上げ幅56円、発効日まで14日、1日6時間なら約94,000円。この金額と、給与担当者が2つの単価を扱う手間とを比べて決めてください。
ただし業務改善助成金を申請する場合は、そもそも発効日の前日までに引き上げることが条件なので、先行適用が前提になります(詳しくは後述)。

勤怠システムと給与ソフトが別々の会社は、二重に直す

中小企業でいちばん多いのが、勤怠は勤怠システム、給与は会計ソフトの給与機能、という組み合わせです。
このとき単価を持っている場所が2か所あるので、片方だけ直して気づかないケースがあります。

見分け方は簡単で、勤怠システムの画面に「概算人件費」「予算」「労務費」といった金額が出ているなら、そこにも単価を持っています。
出ていなければ勤怠側は時間だけの管理なので、給与ソフト側だけで足ります。

給与担当者と管理者が給与システムの設定を確認している様子

設定変更の段取り(5ステップ)

実際の作業順です。所要時間は30名規模の目安です。

STEP やること 目安
STEP1 自社の全事業所について、都道府県と発効日を書き出す 15分
STEP2 時給者・月給者を全員、時間額に換算して新しい最低賃金と比べる 1〜2時間
STEP3 足りない人の新単価を決める(最低賃金ちょうどにするか、少し上に置くか) 経営判断
STEP4 給与ソフト・勤怠システム・規程・求人票・契約書雛形を直す 2〜3時間
STEP5 発効日以降の最初の給与計算で、対象者の時間額を1人ずつ検算する 1時間
STEP3で決めておきたいこと
最低賃金ちょうどに合わせると、来年また同じ作業が発生します。この10年、最低賃金は毎年上がり続けています。
また、最低賃金ちょうどにそろえると、もともと少し高い時給だった先輩と新人の差がなくなる「賃金の逆転」や「差の消滅」が起きます。現場の不満はここから出ます。
実際のご相談では、最低賃金+20〜30円を自社の下限に設定し、経験年数で差を付け直す会社が多いです。
なお業務改善助成金を使うなら、事業場内で最も低い時給を50円・70円・90円のいずれか以上引き上げる必要があります。どうせ上げるなら、助成金のコースに合わせて金額を決めるほうが得です。

⚠️ 同じ2026年10月、社会保険の「106万円の壁」も撤廃される

最低賃金の話とセットで押さえておきたいのが、同じ2026年10月に社会保険(厚生年金・健康保険)の加入要件が変わることです。
いわゆる「106万円の壁」と呼ばれてきた賃金要件(月額8.8万円以上)が撤廃される予定です。

厚生労働省の資料には、次のように書かれています。

今般、全ての都道府県で令和7年度地域別最低賃金が時給1,016円を超えたことにより、
週20時間以上働くすべての方が自動的に社会保険の加入対象になるため、
令和7年年金制度改正法に基づき、令和8(2026)年10月に賃金要件を撤廃する予定です。

理屈はシンプルで、時給1,016円以上の人が週20時間働くと、それだけで月額8.8万円を超えてしまうからです。
最低賃金がここまで上がった以上、賃金要件はもう意味をなさない、ということです。2026年度の最低賃金はいちばん低い宮崎県でも1,085円なので、全国どこでも当てはまります。

加入要件は4つから3つになる

要件 具体的にどういうことか 2026年10月から
① 賃金要件 所定内賃金が月額8.8万円以上 撤廃
② 労働時間 週の所定労働時間が20時間以上 残る
③ 企業規模 従業員数51人以上の企業 残る(段階的に縮小)
④ 学生でない 学生は対象外 残る
⚠️ 管理する軸が「時給」から「週20時間」に変わる
これまでは「月8.8万円を超えないように」という調整が成り立っていました。しかし賃金要件が消えると、いくら時給が低くても、週20時間以上の契約なら社会保険の対象になります。
判定に使うのは実際に働いた時間ではなく雇用契約上の「週の所定労働時間」です。つまり、契約書とシフトの組み方が判定の根拠になります。
会社としての実務は、時給表の管理から「誰が週何時間の契約になっているか」の管理に軸が移ります。ここは勤怠システムやシフト管理の設定そのものです。
社会保険料は労使折半なので、対象者が増えると会社の負担も増えます。最低賃金の引き上げとあわせて、10月からの人件費を試算し直しておくことをおすすめします。

従業員51人未満の会社は、いまはまだ対象外

企業規模要件(従業員51人以上)は残るので、従業員50人以下の会社は当面そのままです。ただし、この要件も段階的に縮小されることが決まっています。

時期 対象となる企業規模
現在(2026年) 従業員51人以上
2027年10月から 従業員36人以上
2029年10月から 従業員21人以上
2032年10月から 従業員11人以上
2035年10月から 従業員10人以下も対象(全企業)

従業員30名前後の会社なら、2029年10月には対象に入る可能性が高いということです。
いまのうちに「誰が週何時間契約か」を一覧で持てる状態にしておくと、そのときに慌てずに済みます。
なお、従業員の2分の1以上の同意があれば、51人未満の会社でも任意で短時間労働者を加入させることは可能です。

※社会保険の適用範囲は個別の事情で判断が分かれます。自社が対象になるか、誰が加入対象かの最終的な判断は、顧問の社会保険労務士または年金事務所にご確認ください。

業務改善助成金は「発効日の前日まで」に引き上げないと対象外

賃金の引き上げにあわせて設備投資をする会社が使えるのが業務改善助成金です。
事業場内で最も低い賃金を一定額以上引き上げ、生産性向上につながる設備投資などを行った場合に、その費用の一部が助成されます。令和8年度の申請受付は2026年9月1日に始まりました。

⚠️ ここを外すと全部が無駄になる

厚生労働省のリーフレットには、次のように書かれています。

地域別最低賃金の発効に対応して事業場内最低賃金を引き上げる場合、
発効日の前日までに引き上げていただく必要があります。

公式の例でも「10月1日に新しい地域別最低賃金が発効される場合、9月30日までに引き上げを完了すれば対象、10月1日当日に実施すると対象外」と明示されています。
つまり、東京・大阪・愛知など10月1日発効の地域にある事業所は、9月30日が実質的な締切です。

項目 令和8年度の内容
申請の受付開始 2026年9月1日
申請期限 申請事業所に適用される地域別最低賃金の発効日の前日
賃金引き上げの期間 2026年9月1日〜「発効日の前日」または「2026年11月30日」の早いほう
事業完了期限 交付決定の属する年度の1月31日(やむを得ない場合は3月31日まで延長可)
申請の単位と手続きの注意
申請は事業所(工場・事務所など労働者がいる場所)ごとに行います。本社と工場があるなら別々の申請です。
令和8年度からは事業場の所在地(都道府県単位)ごとに申請フォームが異なります。拠点ごとに窓口が変わる点に注意してください。
複数回に分けての引き上げは認められません。「まず30円、あとで30円」という進め方は対象外です。
引き上げの対象になるのは、週の所定労働時間が20時間以上の雇用保険加入者です。
引き上げ後の事業場内最低賃金額と同額を就業規則等に定める必要があります。規程の改定を忘れると支給されません。

コース別の助成上限額

事業場内最低賃金の引き上げ額(コース)と、引き上げる労働者の人数で上限額が決まります。

コース 引き上げ額 1人 2〜3人 4〜5人 6〜7人 8人以上
50円コース 50円以上 30万円
(※40万円)
40万円
(※70万円)
70万円 90万円 110万円
70円コース 70円以上 40万円
(※50万円)
50万円
(※100万円)
130万円 180万円 230万円
90円コース 90円以上 90万円
(※100万円)
150万円
(※240万円)
270万円 360万円 450万円

※印は事業場規模30人未満の事業者の場合の金額です。
さらに、特例事業者が10人以上の労働者の賃金を引き上げる場合は、50円コース130万円・70円コース300万円・90円コース600万円まで上限が広がります。

引き上げ前の事業場内最低賃金 助成率
1,050円未満 4/5
1,050円以上 3/4

⚠️ 特例に当たると、パソコン・スマホ・タブレットも対象になる

通常、業務改善助成金の対象経費は「生産性向上に資する設備投資等」で、パソコンやスマートフォンの単体購入は対象外です。
ただし特例事業者のうち「物価高騰等要件」に該当する場合は、PC・スマホ・タブレット等の端末と周辺機器の新規導入も対象になります。

特例の種類 要件 得られるもの
賃金要件 申請事業場の事業場内最低賃金が1,050円未満 助成上限額の拡大(10人以上の区分)
物価高騰等要件 外的要因により、申請前6か月間平均の利益率が前年度と比べ3%ポイント以上低下 上限額の拡大に加え、助成対象経費の拡大(PC等の新規導入)

原材料費や光熱費の高騰で利益率が落ちている会社は、この特例に当たる可能性があります。
該当すれば、勤怠管理システムを入れるついでに現場用のタブレットまで対象にできるということです。
該当するかどうかは決算書の数字で判断するので、顧問税理士に確認してください。

厚生労働省「業務改善助成金」 ➡

都道府県ごとに発効日が異なることをあらわした図

補助金は3つある。どれを使うかの分かれ道

賃上げに関係する制度は業務改善助成金だけではありません。中小企業がIT・設備の投資に使える主な制度を並べると、次のようになります。

制度 引き上げが必須か 向いているケース 注意点
業務改善助成金 必須(50円以上) 最低賃金ギリギリの人がいて、あわせて設備投資もする 発効日の前日までに引き上げ完了が必要
デジタル化・AI導入補助金 不要 会計・勤怠・受発注などのソフトをまとめて入れる 登録されたITツールが対象。交付決定前の発注は対象外
中小企業省力化投資補助金 賃上げ要件あり 単価50万円以上の機械設備を入れて人手を減らす ソフトやクラウド単体では要件を満たしにくい
いちばん多いのは「業務改善助成金で勤怠、補助金でその先」という二段構え
今年は最低賃金の引き上げが避けられないので、どうせ上げる賃金を助成金の要件として使うのがいちばん無駄がありません。
そのうえで、業務改善助成金の対象になりにくいクラウドサービスの月額利用料などは、デジタル化・AI導入補助金の側で組み立てます。
どちらも交付決定の前に発注・契約すると対象外になります。「先にツールを契約してから申請する」は、いちばんよくある失敗です。
要件は年度で変わります。最終的な判断は公募要領を確認するか、専門家にご相談ください。

人件費が5%上がる前提で、ITはどこを削れるか

全国平均で56円、率にして約5%の引き上げです。パート10名が1日6時間・月20日働く会社なら、単純計算で月67,200円、年間で約80万円の人件費増です。

条件 計算 年間の増加額
パート5名/1日6時間/月20日 56円 × 6h × 20日 × 5名 × 12か月 約40万円
パート10名/1日6時間/月20日 56円 × 6h × 20日 × 10名 × 12か月 約81万円
パート20名/1日6時間/月20日 56円 × 6h × 20日 × 20名 × 12か月 約161万円

※あくまで最低賃金で働く人だけを対象にした概算です。実際には、その上の層の賃金も連動して上げる必要が出るので、金額はもう少し大きくなります。

この増加分をどこで吸収するかという話になったとき、当社のご相談で実際に効いているのは次の4つです。

見直す場所 年間で下がりやすい金額の目安 手間
使っていないクラウドの契約・ライセンス 10万〜50万円 小(管理画面を見るだけ)
複合機のカウンター料金・リース契約 10万〜40万円 中(契約書と請求書の確認)
電話・回線・通信費 5万〜30万円 中
勤怠集計・給与計算の手作業(時間の削減) 時給2,500円換算で年30万円前後 大(システム導入が必要)

とくに1行目は見落としが多いところです。退職した人のライセンスが残っている、部署ごとに似たツールを別々に契約している、というのは中小企業でよくあります。
ここは今日30分で確認できて、その場で金額が下がります。

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総務・情シスが毎年つまずく落とし穴

落とし穴 起きること 対策
自社の発効日を10月1日だと思い込む 実際は10月中旬や11月。準備が間に合わない/早すぎる STEP1で事業所ごとに発効日を控える
給与ソフトだけ直して勤怠側が旧単価 概算人件費が合わず、予実がずれる 単価を持っている場所を先に洗い出す
月給者を確認していない 時間額換算で下回っていたことに監督署の調査で気づく 全員を時間額に換算してチェック
除外する手当を入れて計算している 通勤手当込みで計算し、実は足りていない 除外6項目の表で確認する
固定残業代を再計算していない 時給が上がったのに割増単価が旧額のまま 基礎賃金が変わったら必ず再計算
求人票が旧額のまま残る 応募者とのトラブル・企業イメージの低下 求人媒体の掲載中の原稿も直す
就業規則・賃金規程を直していない 業務改善助成金の支給が受けられない 規程の改定日を発効日の前日までに
退職者の勤怠・給与アカウントが残っている 人数の集計が合わない/個人情報が見える状態が続く この機会にアカウントを棚卸しする

最後の行は毎年おすすめしている作業です。最低賃金の対応で全従業員の時給を1人ずつ見る機会は、年に一度しかありません。
そのついでに、退職した人のアカウントが残っていないかを確認すると、1回の作業で2つ片付きます。

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システムを入れ替えるなら、今年がいちばん条件がいい理由

「そろそろ勤怠をシステム化したい」と何年も言いながら進んでいない会社は多いと思います。今年は次の3つが重なるので、動かすなら条件が良い年です。

条件 具体的にどういうことか
どうせ賃金を上げる 業務改善助成金の要件である「50円以上の引き上げ」を、自然に満たせる
申請受付が始まったばかり 令和8年度の受付は2026年9月1日開始。予算の枠が残っている時期
最低賃金の確認作業で人数と時給が全部そろう STEP2でつくった一覧が、そのまま見積り依頼の資料になる

実際のご相談でも、「業務改善助成金で勤怠管理システムと現場用タブレットを入れて、集計にかかっていた月10時間をほぼゼロにした」というケースが出ています。
手作業の集計が月10時間あるなら、時給2,500円換算で年間30万円分です。

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今日からできる3ステップ(すべて0円)

やること 所要時間
① 自社の全事業所の都道府県と発効日を紙1枚に書き出す 15分
② いちばん時給が低い人の金額を確認し、新しい最低賃金と比べる 15分
③ 10月1日発効の地域に事業所があるなら、業務改善助成金を使うか
9月中に判断する
30分

③が今日いちばん急ぐ判断です。10月1日発効の15都道府県に事業所がある会社は、9月30日までに引き上げを完了していないと業務改善助成金の対象になりません。
使う可能性が少しでもあるなら、今週中に方向を決めてください。

①でつくった一覧は、そのまま勤怠システムや給与ソフトの見積り依頼の資料としても使えます。
事業所の数・都道府県・対象人数・現在の時給が分かっていれば、どの販売店からも同じ前提で見積りが出てくるので、比較できる状態になります。

よくあるご質問

Q. 最低賃金は10月1日から全国一斉に上がるのですか?

A. いいえ。2026年度に10月1日から発効するのは47都道府県のうち15だけで、残りは10月2日から12月2日の間に順次発効します。
東京・大阪・愛知などは10月1日ですが、京都は11月16日、沖縄は12月2日です。自社の事業所がある都道府県の発効日を必ず個別に確認してください。

Q. 時給を直し忘れた場合、あとから払えば問題ありませんか?

A. 差額を支払えば未払いは解消しますが、支払うまでの間は最低賃金法違反の状態です。50万円以下の罰金の対象になり得ます。
また最低賃金法第4条第2項により、直していなくても契約は自動的に新しい最低賃金額に書き換わるため、「気づかなかった」という理由は通りません。早めの是正をおすすめします。

Q. 月給の正社員も確認が必要ですか?

A. 必要です。月給を1か月平均所定労働時間で割って時間額に換算し、最低賃金額と比べます。このとき通勤手当・家族手当・精皆勤手当・賞与・割増賃金は計算から除きます。
職務手当や役職手当は除かないので含めて計算します。固定残業代を含む給与の方はとくに注意してください。

Q. 業務改善助成金は、いまから申請しても間に合いますか?

A. 事業所のある都道府県によります。申請期限は「その事業所に適用される地域別最低賃金の発効日の前日」なので、10月1日発効の地域なら9月30日が期限です。
11月・12月発効の地域にある事業所なら、まだ時間があります。賃金の引き上げも発効日の前日までに完了している必要がある点にご注意ください。

まとめ

気をつけること 具体的にどういうことか
全国加重平均 1,177円(+56円)。47都道府県すべてで54〜65円の引き上げ
発効日 10月1日は15都道府県だけ。残りは10月2日〜12月2日
月の途中発効 26都道府県。給与計算期間の初日から先行適用するのが現実的
直す場所 給与ソフトだけでなく、勤怠・固定残業代・規程・求人票・契約書雛形
月給者 時間額に換算してチェック。除外する手当が6種類ある
罰則 未払いは50万円以下、周知義務違反は30万円以下の罰金
業務改善助成金 引き上げは発効日の前日まで。当日では対象外
特例事業者 物価高騰等要件に当たればPC・スマホ・タブレットも対象経費に

最低賃金の改定は毎年あります。
毎年ばたばたするか、毎年30分で終わるかを分けるのは、事業所ごとの発効日と、単価を持っているシステムの場所を一覧にしているかどうかだけです。
今年つくった一覧は、来年そのまま使えます。

株式会社アーデントでは、勤怠管理システム・クラウド会計の導入から、業務改善助成金・デジタル化・AI導入補助金の活用まで、まとめてご相談を承っています。
「うちの場合、どの制度が使えるのか」という段階からで構いませんので、お気軽にお問い合わせください。

※本記事は2026年9月17日時点の公表情報をもとに作成しています。最終的な金額・発効日は厚生労働省および管轄の都道府県労働局の発表をご確認ください。
賃金規程や個別の労務判断については、社会保険労務士にご相談ください。

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株式会社アーデントは、デジタル化・AI導入補助金の支援事業者を行っております!



アーデントからデジタル化・AI導入補助金を使ってクラウドツールを導入するメリットは以下の通りです。

メリット①対象ツールを2年間、半額、もしくは1/4で利用可!

メリット②会計、経費精算、請求書処理、受発注ツール導入なら、PCやタブレットの購入も補助が受けられ半額!

メリット③補助期間終了後は、公式価格よりお値引き!

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【弊社取り扱いクラウドツール】

🔹オフィス・グループウェア:  Google Workspace※、Microsoft365、desk'nets NEO※
🔹ノーコード業務改善:kintone、Zoho※、楽楽販売、JUST.DB※、サスケworks
🔹コミュニケーション:  サイボウズオフィス、Garoon、Chatwork、LINE WORKS、zoom
🔹会計・経費管理:  マネーフォワード、freee、楽楽精算、楽楽明細、楽楽請求、invox
🔹電子契約・文書管理:  freeeサイン、クラウドサイン、GMOサイン、Adobe Acrobat、box
🔹セキュリティ対策:  sophos、SentinelOne、ESET、トレンドマイクロ、CloudGate UNO
🔹バックアップ:  syscloud、Avepoint、veeam
🔹RPA・自動化:  RoboTANGO、DX-Suite、Yoom※、バクラクシリーズ
🔹勤怠・労務管理:  勤革時、楽楽勤怠、マネーフォワード
🔹物流・在庫管理:  ロジザードZERO
🔹教育・マニュアル作成管理:  iTutor、NotePM、leaf
🔹PBX・電話システム:  INNOVERAPBX※、MOTTEL※、ZoomPhone※
🔹端末管理:LANSCOPE、clomo、ISM Cloud One
🔹リモートデスクトップ:RemoteOperator在宅
🔹受付ipad:ラクネコ※
🔹タスク管理、その他:Adobe creative cloud、Notta、JOSYS、backlog※
など



※こちらのツールは補助期間終了後の値引不可

また、上記以外のツールも取り扱いできるものが多々ありますので、一度ご相談ください。





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デジタル化・AI導入補助金お問合せ:03-5468-6097






以下の動画では、採択のポイントや申請にあたっての注意点などを詳しく解説していますので、
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