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【2026年版】中小企業省力化投資補助金とデジタル化・AI導入補助金の使い分け|一般型・カタログ注文型の違いと「クラウド導入だけでは申請できない」理由

省力化補助金の図解

「省力化投資補助金なら最大1億円もらえるらしい。うちもGoogle WorkspaceやkintoneをこれでDXできないか」――このご相談を、最近とてもよくいただきます。
 
結論を先に申し上げます。クラウドサービスやパッケージソフトを導入したいだけであれば、中小企業省力化投資補助金は使えません。それは「デジタル化・AI導入補助金」の領域です。
 
理由は単純で、省力化投資補助金の一般型には「単価50万円(税抜)以上の機械装置・システムを必ず1つ以上入れること」という条件があり、しかも月額・年額で払うクラウドの利用料はこの50万円の枠に数えられないからです。
 
さらに公募要領には、汎用設備やパッケージソフトを単体で導入する事業は補助対象外、と明記されています。
 
とはいえ、省力化投資補助金が中小企業にとって使えない制度なのかというと、まったくそんなことはありません。人手不足の現場に、自社の業務に合わせて設計した仕組みを入れるのであれば、補助率2分の1〜3分の2で最大1億円という、他にはない規模の支援が受けられます。
 
この記事では、従業員30〜300名規模の中小企業の経営者・情報システム担当者の方に向けて、中小企業省力化投資補助金の一般型とカタログ注文型の違い、いくらもらえるのか、何が対象で何が対象外なのか、そして「デジタル化・AI導入補助金」とどう使い分けるのかを、
 
中小機構が公開している第7回公募要領と公式サイトで直接確認した内容にもとづいて整理します。
 
なお、2026年8月18日(火)から一般型の第8回公募が始まる予定です。申請受付は9月中旬、締切は10月中旬の見込みですので、検討されている場合はいまが準備のタイミングです。

目次

結論:どちらの補助金を使えばよい?

まず、いちばん知りたいところから整理します。2つの補助金は名前が似ていて混同されがちですが、狙っているものがまったく違います。

やりたいこと 使う補助金 補助額の目安
Google Workspace・Microsoft 365・kintone・会計ソフトなど、既にあるクラウドサービスを導入したい デジタル化・AI導入補助金 数十万円〜数百万円
自社の業務に合わせて専用のシステムを開発したい/ロボットや機械を入れて現場の作業そのものを減らしたい 中小企業省力化投資補助金(一般型) 最大1億円
カタログに載っている省力化機器(券売機・配膳ロボット・自動精算機など)をそのまま買いたい 中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型) 最大1,500万円

判断の分かれ目は「買うものが、月額で使うソフトなのか、資産として持つ機械やシステムなのか」です。ここさえ押さえておけば、入口を間違えることはありません。

中小企業省力化投資補助金とは?2つの型がある

中小企業省力化投資補助金は、人手不足に悩む中小企業が、IoTやロボットなどのデジタル技術を活用した設備を導入する費用の一部を国が補助する制度です。運営しているのは中小企業庁と、独立行政法人 中小企業基盤整備機構(中小機構)です。
 
制度の目的は、単に設備を入れることではありません。公式サイトには、設備投資によって企業の付加価値額と生産性を高め、それを賃上げにつなげることが目的だと書かれています。この「賃上げまでがセット」という点が、後述する要件の重さに直結します。

人手作業の自動化

カタログ注文型と一般型は何が違う?

項目 カタログ注文型 一般型
買えるもの カタログに登録された汎用製品 自社に合わせた設備・システム
補助上限額 最大1,500万円 最大1億円
補助率 2分の1以下 2分の1(小規模等は3分の2)
公募 随時受付 公募回ごと(現在 第8回)
申請の進め方 販売事業者がサポート 自社で事業計画書を作成
向いている会社 入れたい製品がもう決まっている 既製品では業務に合わない

カタログ注文型は、国が事前に審査して登録した製品のカタログから選ぶ方式です。券売機、自動精算機、配膳ロボット、検品システムなどが並んでおり、飲食・小売・宿泊・介護といった現場で使いやすい設計になっています。
 
販売事業者が申請をサポートしてくれるため、補助金の申請経験がない会社でも進めやすいのが利点です。
 
一般型は、カタログにない設備や、自社の業務に合わせて設計したシステムを導入したいときに使います。補助額が桁違いに大きい代わりに、事業計画書を自社で作成し、後述する要件を満たす必要があります。

⚠️ カタログ注文型は2026年3月に補助上限が下がっている

ここは見落とされやすい重要な変更点です。カタログ注文型の補助上限額は、2026年3月19日以降の申請から引き下げられました。ネット上には改定前の金額を載せたままの記事が多く残っているため、古い数字で資金計画を立ててしまうと足りなくなります。

従業員数 2026年3月18日以前 2026年3月19日以降(現行)
5名以下 500万円(750万円) 200万円(300万円)
6〜20名 750万円(1,000万円) 500万円(750万円)
21名以上 1,000万円(1,500万円) 1,000万円(1,500万円)

カッコ内は賃上げ要件を達成した場合の上限額です。ご覧のとおり、従業員5名以下の会社では上限が500万円から200万円へと5分の2に下がっています。小規模な会社ほど影響が大きい改定でした。

【2026年8月時点】いまはどの回に申請できる?

区分 現在の状況 スケジュール
一般型 第7回 受付終了 2026年7月31日(金)17時に締切
一般型 第8回 これから 8月18日(火)公募開始/9月中旬 申請受付開始/10月中旬 締切(予定)
カタログ注文型 受付中 随時公募(交付申請を通年で受付)

一般型は公募回ごとの受付です。第8回の詳細なスケジュールは公募開始日にあわせて公表されますので、正確な日付は必ず公式サイトでご確認ください。
 
なお、応募申請から採択発表まではおよそ3か月かかります。採択されてから交付申請、そこから発注という順序になりますので、「年内に設備を動かしたい」というスケジュール感では間に合いません。

⚠️ 交付決定の前に発注すると対象外になります
補助対象になるのは、交付決定を受けた日以降に契約(発注)した経費だけです。
「採択されたから」と先に発注してしまうと、その経費はまるごと補助対象外になります。
採択発表と交付決定は別の手続きです。順番を必ず守ってください。

一般型はいくら補助される?補助上限額と補助率

一般型の補助上限額は、従業員数によって5段階に分かれています。カッコ内は、後述する大幅賃上げの特例を適用した場合の金額です。

従業員数 補助上限額 大幅賃上げ特例の適用時
5人以下 750万円 1,000万円
6〜20人 1,500万円 2,000万円
21〜50人 3,000万円 4,000万円
51〜100人 5,000万円 6,500万円
101人以上 8,000万円 1億円

補助率は、会社の区分によって変わります。

補助対象者 補助率 備考
中小企業 2分の1 最低賃金引上げの特例に該当すると3分の2
小規模企業者・小規模事業者 3分の2
再生事業者 3分の2 基本要件が未達でも返還が免除される

補助率や上限が上がる2つの特例

特例 内容 満たすべき条件
大幅賃上げ特例(上限が上がる) 従業員規模に応じて250万〜2,000万円を上限に上乗せ 1人当たり給与支給総額を年平均+6.0%以上、かつ事業場内最低賃金を都道府県の最低賃金+50円以上
最低賃金引上げ特例(補助率が上がる) 中小企業の補助率が2分の1から3分の2へ 2024年10月〜2025年9月のうち、低い賃金水準で雇用している従業員が全体の30%以上である月が3か月以上

大幅賃上げ特例には注意が必要です。上乗せされた枠を使ったあとに条件を達成できなかった場合、上乗せ分との差額を返還することになります。「上限が上がるなら申請しておこう」と安易に選ぶ性質のものではありません。

なぜ「クラウドを入れたいだけ」では申請できない?

ここが本記事でいちばんお伝えしたい部分です。省力化投資補助金の一般型には、ソフトウェアを月額で使うタイプの導入を実質的に受け付けない仕組みが、3つ重なって入っています。

公募要領に書かれている内容 何が起きるか
① 50万円の設備が必須 必ず1つ以上、単価50万円(税抜)以上の機械装置等の設備投資が必要 50万円以上の「モノ」または構築したシステムが1件もないと申請が成立しない
② 月額利用料は設備に数えない ソフトウェア・システムの月額・年額利用料は「借用」に該当せず、クラウドサービス利用費として計上する SaaSをいくら積み上げても①の50万円要件を満たせない
③ その他経費は500万円まで 「機械装置・システム構築費」以外の経費は、総額で500万円(税抜)までが補助上限 クラウド利用費だけで大きな補助を取ることはできない

そもそもクラウド利用費は「補助事業専用」でなければ対象外

クラウドサービス利用費についても、公募要領はさらに絞り込んでいます。対象になるのは、専ら補助事業のために利用するクラウドサービスやWEBプラットフォームの利用費のみで、自社の他の事業と共有する場合は補助対象にならないと明記されています。
 
全社で使うグループウェアやメールは、当然ながら補助事業以外の業務にも使います。この時点で、対象から外れることになります。
 
なお、クラウド利用に付帯するルータ使用料・プロバイダ契約料・通信料などは、補助事業に必要な最低限のものであれば対象になります。ただし、パソコン・タブレット端末・スマートフォンの本体費用は対象になりません。

さらに「パッケージソフトの単体導入」は明確に対象外

公募要領の「補助対象外となる事業」には、汎用設備やパッケージソフト等のオーダーメイド性の無い設備・システムを単体で導入する事業、と書かれています。これは審査で落ちるという話ではなく、そもそも対象外という扱いです。
 
加えて、補助対象外経費の一覧には「汎用性があり、目的外使用になり得るものの購入費」として、事務用のパソコン・プリンタ・文書作成ソフトウェア・スマートフォン・タブレット端末・カメラなどが名指しで挙げられています。
 
事務所のパソコンを買い替えたい、といった用途にはまったく向いていません。

整理すると、こういうことです
・Google Workspace や Microsoft 365 を全社に導入したい → デジタル化・AI導入補助金
・会計ソフトや勤怠管理システムをクラウドで入れたい → デジタル化・AI導入補助金
・事務所のパソコンを買い替えたい → どちらも対象外(インボイス対応類型など例外あり)
・自社の受発注の流れに合わせて専用システムを作りたい → 省力化投資補助金(一般型)
・現場に検品機やロボットを入れて人手そのものを減らしたい → 省力化投資補助金

どこまでなら対象?オーダーメイド設備の線引き

では、既製品を使うと必ず対象外なのかというと、そうではありません。ここに実務上とても大事な例外があります。
 
公募要領には、汎用設備であっても、導入環境に応じて周辺機器や構成する機器の数、搭載する機能等が変わる場合や、汎用設備を組み合わせて導入することでより高い省力化効果や付加価値を生み出すことが可能である場合には、オーダーメイド設備であるとみなす、
 
と明記されています。
 
つまり判断されているのは「既製品かどうか」ではなく、「自社の業務に合わせて設計された一式になっているかどうか」です。

工場の設備確認

導入内容 扱い 理由
kintone のライセンスを契約して社員に配る 対象になりにくい パッケージソフトの単体導入にあたる
kintone を土台に、自社の受発注フローに合わせた業務システムを構築(構築費50万円超) 対象になりうる 自社の業務に応じて専用に設計されている
市販の在庫管理ソフトをそのまま導入 対象になりにくい 汎用パッケージの単体導入
ハンディ端末・棚ラベル・基幹システム連携をまとめて構築し、棚卸し作業を自動化 対象になりうる 複数の設備を組み合わせて高い省力化効果を生む
カタログ注文型のカタログにある製品をそのまま買う 一般型では対象外 カタログ注文型を使うべき案件
カタログ製品を軸に、自社のレイアウトに合わせて周辺機器や機能を変更して導入 対象になりうる 導入環境に応じて構成が変わっている

ちなみに、カタログ注文型のカタログに載っているカテゴリの製品を一般型で導入する場合、省力化効果が見込める計画だとして審査で考慮される、という記載もあります。使えるものは使う、という姿勢で問題ありません。

補助対象になる経費・ならない経費は?

一般型の補助対象経費は7区分です。「機械装置・システム構築費」だけが必須で、残りは任意ですが、それぞれ上限が設けられています。

経費区分 必須/任意 上限
機械装置・システム構築費 必須 単価50万円(税抜)以上を1件以上
運搬費 任意 特になし
技術導入費 任意 補助対象経費総額(税抜)の3分の1
知的財産権等関連経費 任意 同 3分の1
外注費 任意 同 2分の1
専門家経費 任意 同 2分の1(1日あたり5万円まで)
クラウドサービス利用費 任意 特になし(※下記の総額制限あり)

そして繰り返しになりますが、「機械装置・システム構築費」以外の経費は、合計で500万円(税抜)までが補助上限です。外注費もクラウド利用費も専門家費用も、すべてこの500万円の中に収まります。

見落としやすい対象外の経費

対象外になるもの 補足
事務用のパソコン・プリンタ・文書作成ソフト・スマホ・タブレット・カメラ 汎用性があり目的外に使えるため。本事業でのみ使用可能なものは除く
既存システムのバージョンアップ・アップデート・改修費用 新規に導入するシステムと連携するための改修費用は対象
電話代、インターネット利用料金などの通信費 クラウドサービス利用費に含まれる付帯経費は除く
中古品の購入費
車両・船舶・航空機 減価償却上「機械及び装置」に該当するものは対象
土地・建物などの不動産、設置場所の整備工事・基礎工事 ビニールハウスやコンテナなどの簡易建物も対象外
申請書類の作成にかかった費用、税理士・弁護士への支払い 応募時に事業計画書の作成を支援した人への専門家経費も対象外
同一法人内・グループ会社間・親族などへの支払い 社内発注・社内製造も対象外

セキュリティ関連には少し細かい決まりがあります。本事業で導入したシステムやサーバーを守るためのウイルス対策ソフトは対象になりますが、ウイルス対策ソフトだけを単体で買う費用や、汎用パソコンに入れるための費用は対象外です。
 
一方、導入したシステムの脆弱性診断(セキュリティ診断)の費用は外注費として対象になります。

セキュリティ対策の費用を補助金で抑える方法(c-compe.com) ➡

申請すると5年間の「宿題」が付いてくる?基本要件と返還リスク

ここが、補助額の大きさに目を奪われていると見落としがちな部分です。省力化投資補助金の一般型は、設備を入れて終わりではありません。事業計画期間(3〜5年)にわたって数値目標を達成し、毎年報告する義務があります。

補助金の計画検討

基本要件 内容 未達のときは
① 労働生産性 年平均成長率+4.0%以上の増加 未達だけでは交付決定の取消や返還にはならない
② 1人当たり給与支給総額 年平均成長率+3.5%以上の増加 達成率に応じて補助金を返還
③ 事業場内最低賃金 事業を行う都道府県の最低賃金+30円以上の水準 「補助金額÷計画年数」の額を返還
④ 一般事業主行動計画 次世代育成支援対策推進法にもとづく計画の公表等(従業員21名以上のみ)

特に②と③は、達成できなければ実際にお金を返すことになる要件です。ただし救済もあり、付加価値額が増えておらず、かつ会社全体として営業利益が赤字である場合や、天災など会社の責任ではない事情がある場合には返還が免除されます。
 
逆に、意外に思われるかもしれませんが、①の労働生産性の目標については、達成できなかったことだけを理由に交付決定が取り消されたり返還を求められたりすることはない、と公式のよくある質問に明記されています。
 
ただし、補助金で買った設備をわざと使わずに放置していたなど、故意・過失が原因の場合は返還の可能性があります。

経営判断として、ここを先に確認してください
・今後3〜5年、毎年3.5%ずつ給与を上げ続けられるか
・事業場内で最も低い賃金を、毎年 最低賃金+30円以上に保てるか
・補助事業の翌年度から5年間、毎年 効果報告を提出する担当者を置けるか
この3つに不安があるなら、補助額が小さくても要件の軽いデジタル化・AI導入補助金のほうが、結果的に得になることがあります。

審査では何が見られる?技術面の4観点と2つの計算式

書面審査では、まず対象事業・対象者・申請要件を満たしているかという適格性が確認され、そのうえで技術面が4つの観点で評価されます。

審査の観点 見られていること
省力化指数 省力化の効果が高く、その算出根拠が妥当か
投資回収期間 投資を回収できる期間が短く、その算出根拠が妥当か
付加価値額 付加価値額の年平均成長率が大きい案件か
オーダーメイド設備 自社の業務に合わせた専用設備を導入する計画になっているか

省力化指数と投資回収期間の計算式

この2つは公募要領に計算式が示されています。事業計画書を書く前に、自社の数字を当てはめて手元で試算しておくと、そもそも申請する価値があるのかを早い段階で判断できます。

公募要領に示されている2つの式
省力化指数=〔(設備導入により削減される業務に要していた時間)−(設備導入後に発生する業務に要する時間)〕÷(設備導入により削減される業務に要していた時間)
投資回収期間=投資額 ÷(削減工数 × 年間稼働日数 × 人件費単価 + 増加した付加価値額)

省力化指数でよくある勘違いは、削減できる時間だけを数えてしまうことです。設備を入れたあとに新しく発生する作業(機械への投入、データの確認、メンテナンスなど)を差し引くのが正しい計算です。
 
ここを正直に見積もっていない計画は、根拠が妥当でないと判断されやすくなります。

申請の流れはどうなる?9つのステップ

ステップ やること 目安
1. GビズID取得 GビズIDプライムアカウントを取得(電子申請に必須) 2週間程度みておく
2. 事業計画書の作成/設備の選定 省力化指数・投資回収期間・付加価値額を算出 1〜2か月
3. 応募申請 電子申請システムから申請(代理申請は不可) 締切まで
4. 相見積もり/事業者選定 1件50万円以上は原則2者以上から同一条件で取得 採択後
5. 交付申請 電子申請システムで手続き 採択後
6. 補助事業の実施 交付決定日から18か月以内(採択発表日から20か月以内)
7. 実績報告 完了日から30日以内、または事業完了期限のいずれか早い日まで
8. 補助金の交付 内容の確認・額の確定後に請求
9. 効果報告 事業計画1年目の終了後、最初の4月から5年間 毎年 5年間

採択発表までは応募からおよそ3か月です。GビズIDの取得にも時間がかかりますので、第8回を狙うのであれば、まずGビズIDの手続きから着手してください。ここが間に合わずに見送りになる会社が毎回あります。

見積書の書き方には具体的な決まりがあります

システム構築費を計上する場合、「システム開発一式」というような見積書は認められません。積算根拠が明確な見積書と仕様書の提出が求められます。
 
さらに実績報告のときには、要件定義書、または作業単価・作業工数・作業時間・作業担当者などがわかる開発費用算出資料の提出が必要です。
 
つまり、発注先のベンダーが工数の内訳を出せるかどうかが、そのまま申請の成否に効いてきます。相談する段階で「補助金申請で使うので積算根拠つきの見積をお願いしたい」と伝えておくことを強くおすすめします。

中小企業がつまずきやすい落とし穴6つ

落とし穴 実際に起きること 対策
交付決定の前に発注してしまう その経費が全額 補助対象外になる 採択=発注してよい、ではないと社内で共有する
GビズIDの取得が間に合わない 締切に申請できず次回送りになる 検討を始めた日に申請手続きを開始する
「システム開発一式」の見積しかもらえない 審査・実績報告で行き詰まる 見積依頼の時点で積算根拠つきを条件にする
賃上げ要件を軽く考える 3〜5年後に補助金の返還が発生する 給与計画を先に作り、社労士・税理士に確認する
事業実施場所が決まっていない 建設中や土地のみの確保では対象外 工場・店舗など実施場所を特定してから申請する
同一法人で2件申請しようとする 公募回ごとに1申請のみで同時申請は不可 社内で優先順位をつけて1件に絞る

見落としがちですが、公募要領には、応募申請時点で計上されている経費の大半が補助対象外経費である場合、補助事業の円滑な遂行が困難であるとして不採択になる可能性がある、と書かれています。
 
対象外の経費を紛れ込ませたまま申請すると、その経費が削られるだけでなく、申請そのものが通らなくなることがあるということです。

もうひとつ、補助金の交付額を確定する段階で中小機構と事務局による現地調査が行われます。現地で設備や証憑類が確認できない場合、その金額は補助対象になりません。設置場所と納品の記録は必ず残しておいてください。

デジタル化・AI導入補助金とどう使い分ける?

ここまでの内容を、2つの制度の比較として1枚にまとめます。

比較項目 省力化投資補助金(一般型) デジタル化・AI導入補助金
狙い 人手不足の解消・省力化 業務のデジタル化・AI活用
主な対象 オーダーメイドの設備・システム 事務局に登録されたITツール
クラウドサービス単体 対象外 対象(登録ツールに限る)
補助上限 最大1億円 枠により数十万〜数百万円
補助率 2分の1〜3分の2 枠により2分の1〜5分の4
必須の条件 単価50万円以上の設備が1件以上 登録ITツールであること
賃上げ・最低賃金の要件 あり(未達で返還あり) 枠・補助額により限定的
申請の相手 自社で事業計画書を作成 IT導入支援事業者と共同申請
公募 公募回ごと(現在 第8回) 年に複数回の締切

迷ったときの判断手順

この順番で考えると迷いません
1. 入れたいものは「月額で払うクラウドサービス」か? → はい なら デジタル化・AI導入補助金
2. 単価50万円(税抜)以上の機械・システムが1件以上あるか? → いいえ なら 省力化投資補助金は使えない
3. それは既製品をそのまま買うだけか? → はい なら カタログ注文型を確認
4. 自社の業務に合わせて設計・組み合わせるか? → はい なら 一般型
5. 今後3〜5年、給与を毎年3.5%以上上げられるか? → いいえ なら 一般型は見送りも検討

実際のご相談では、「まずデジタル化・AI導入補助金でグループウェアと会計を整え、業務の流れが見えてきた段階で、人手がいちばんかかっている工程だけを省力化投資補助金で自動化する」という二段構えが、いちばん無理がありません。
 
いきなり1億円規模の投資を計画するより、確実に成果が出ます。

クラウド業務システム kintone を見る ➡

クラウド販売管理システム 楽楽販売 を見る ➡

他の補助金との併用はできる?

よくいただくご質問です。まず省力化投資補助金の中では、一般型とカタログ注文型を同じ補助対象に対して併用することはできません。ただし、別の補助対象に対してであれば併用は可能だと公式に案内されています。
 
たとえば、店舗の自動精算機はカタログ注文型で、工場の検品システムは一般型で、という組み合わせは考えられます。一方、同じ検品システムを両方に申請することはできません。
 
省力化投資補助金とデジタル化・AI導入補助金についても、同じ経費を二重に受け取ることはできません。どちらの制度も、他の補助金との重複は対象外としています。導入するツールや設備ごとに、どちらの制度で申請するかを分けて整理してください。

組み合わせ 可否 考え方
一般型とカタログ注文型(同じ設備) 不可 同一の補助対象への併用は認められない
一般型とカタログ注文型(別の設備) 可能 補助対象が異なれば併用できる
省力化投資補助金とデジタル化・AI導入補助金(同じ経費) 不可 重複受給にあたる
省力化投資補助金とデジタル化・AI導入補助金(別の経費) 検討可 各制度の公募要領で重複の定義を必ず確認する

なお、補助金の要件は年度や公募回ごとに変わります。併用の可否については、必ず最新の公募要領を確認し、判断に迷う場合は認定経営革新等支援機関や事務局のコールセンターにご相談ください。

今日からできる3つの準備

やること 所要時間の目安 なぜ先にやるのか
GビズIDプライムアカウントを取得する 手続き自体は30分、発行まで2週間程度 取得できていないと、そもそも電子申請ができない
いちばん人手がかかっている作業を1つ選び、年間の時間を数える 半日 省力化指数と投資回収期間の計算に、この数字がそのまま必要になる
向こう5年の給与計画を作り、社労士・税理士に確認する 1〜2週間 賃上げ要件を満たせるかで、申請するかどうかが決まる

特に2つ目が重要です。「なんとなく人手が足りない」という感覚のままでは事業計画書は書けません。どの作業に、誰が、年間で何時間使っているのかを数えると、そもそも設備投資で解決すべき問題なのか、業務の流れを変えれば済む問題なのかも見えてきます。
 
実際、数えてみた結果、1億円の設備ではなく、月数万円のクラウドサービスと運用ルールの見直しで解決したというケースは珍しくありません。補助金は手段であって、目的ではないという点は、最後まで意識していただければと思います。

よくあるご質問

Q. 従業員10名の会社でも、省力化投資補助金の一般型は使えますか?

A. 使えます。従業員5人以下でも750万円(大幅賃上げ特例で1,000万円)、6〜20人なら1,500万円(同2,000万円)が上限です。小規模企業者・小規模事業者に該当すれば補助率も3分の2になります。
 
ただし規模が小さいほど、毎年3.5%の賃上げを5年続ける負担は重くなります。金額の大きさだけで判断せず、給与計画とあわせて検討してください。

Q. Google Workspace や Microsoft 365 は、まったく対象にならないのですか?

A. 単体で導入する場合は対象になりません。パッケージソフトの単体導入は補助対象外と公募要領に明記されています。これらを導入したい場合はデジタル化・AI導入補助金をご利用ください。
 
なお、自社専用に構築するシステムの一部として、その運用に必要なクラウドサービスの利用料を「クラウドサービス利用費」として計上することは可能です。ただし、その他経費の合計500万円という枠の中に収まる必要があります。

Q. 事業計画書は自社で作らないといけませんか?

A. 申請は申請者自身が行う必要があり、申請者自身による申請と認められない場合は不採択となります。ただし、事業計画の策定にあたって専門的な支援が必要な場合は、認定経営革新等支援機関に相談できると公募要領に案内されています。
 
なお、応募時に事業計画書の作成を支援した人への費用は、専門家経費の補助対象にはなりませんのでご注意ください。

Q. 採択されれば必ず満額もらえますか?

A. いいえ。採択は、提出した事業計画に記載された補助対象経費の全額に対して交付を確定するものではありません。採択後の交付申請の内容を中小機構が精査し、補助対象外の経費が含まれていた場合には減額されることがあります。
 
また、実績報告の内容を踏まえて最終的な補助額が確定するため、交付決定額の全額が支払われるとは限りません。

まとめ

中小企業省力化投資補助金は、最大1億円という規模だけを見ると魅力的ですが、その中身は「人手がかかっている現場の作業を、自社に合わせて設計した設備で減らす」ための制度です。クラウドサービスやパッケージソフトを導入したいだけであれば、対象になりません。
 
その場合はデジタル化・AI導入補助金が正しい入口です。
 
判断の順番はシンプルです。単価50万円以上の機械やシステムがあるか。それは既製品をそのまま買うだけか、自社に合わせて設計するのか。そして、今後3〜5年にわたって賃上げの要件を守れるか。この3点で、使うべき制度はほぼ決まります。
 
2026年8月18日からは一般型の第8回公募が始まります。GビズIDの取得と、人手がかかっている作業の時間の棚卸しは、今日からでも始められます。
 
株式会社アーデントでは、補助金を活用したクラウドツールの導入と、業務フロー全体のデジタル化をご支援しています。「どちらの補助金が自社に合うのか分からない」「そもそも設備投資が必要な話なのか判断したい」という段階でも構いませんので、お気軽にご相談ください。
 
なお、補助金の要件・金額・スケジュールは公募回ごとに変わります。本記事は2026年8月時点で公開されている第7回公募要領および公式サイトの内容をもとにしていますので、申請の際は必ず最新の公募要領をご確認ください。

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🔹リモートデスクトップ:RemoteOperator在宅
🔹受付ipad:ラクネコ※
🔹タスク管理、その他:Adobe creative cloud、Notta、JOSYS、backlog※
など



※こちらのツールは補助期間終了後の値引不可

また、上記以外のツールも取り扱いできるものが多々ありますので、一度ご相談ください。





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