1. HOME
  2. ブログ
  3. 【2026年10月1日】社会保険の「106万円の壁」が撤廃|週20時間の判定方法と、勤怠・シフト・給与システムで直す場所

【2026年10月1日】社会保険の「106万円の壁」が撤廃|週20時間の判定方法と、勤怠・シフト・給与システムで直す場所

社会保険の要件

2026年10月1日から、パート・アルバイトの社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入条件が変わります。
「年収106万円の壁」と呼ばれてきた月額8.8万円以上という賃金の条件が、なくなる予定です。

ただ、この話をニュースで見て「うちも10月から大勢が社会保険に入るのか」と身構える必要は、多くの会社ではありません。
本当に押さえるべきなのは、判断の軸が「いくら払っているか」から「週に何時間の契約か」に完全に移ることと、その判定に使う数字が、給与ソフトではなく勤怠・シフト管理の側にあるという点です。

▶ 先に結論(3行)
10月に変わるのは金額の条件がなくなることで、新しく加入する人が急に増えるわけではありません。
今回直接の対象になるのは従業員51人以上の会社です。50人以下は2027年10月から順に対象が広がります。
判定に使うのは実際に働いた時間ではなく、雇用契約に書いた「週の所定労働時間」です。ここが勤怠システムに入っていない会社が非常に多く、最初に直す場所になります。

この記事では、制度そのものの解説よりも、中小企業の総務・情シスが実際に手を動かす場所(雇用契約書・勤怠システム・シフト表・給与システム)に絞って整理します。
なお、個別の加入可否や労務上の判断は社会保険労務士または年金事務所にご確認ください。

目次

2026年10月に変わるのは「金額の条件がなくなる」こと

短時間で働く人が社会保険に加入するかどうかは、これまで次の4つの条件で決まっていました。2026年10月以降は、このうち1つ目がなくなる予定です。

条件 内容 2026年10月以降
① 賃金要件 所定内賃金が月額8.8万円以上 撤廃される予定
② 労働時間 週の所定労働時間が20時間以上 残る
③ 企業規模 勤め先の従業員数が51人以上 残る(段階的に縮小)
④ 学生でない 学生ではないこと 残る
(共通)雇用見込み 2か月を超えて雇用される見込みがあること 残る

厚生労働省のリーフレット(令和8年1月作成)には、撤廃の理由がはっきり書かれています。

今般、全ての都道府県で令和7年度地域別最低賃金が時給1,016円を超えたことにより、
週20時間以上働くすべての方が自動的に社会保険の加入対象になるため、令和7年年金制度改正法に
基づき、令和8(2026)年10月に賃金要件を撤廃する予定です。
(出典:厚生労働省「短時間労働者の社会保険の加入拡大のポイント」)

だから「10月に新しく加入する人」は、実はほとんど増えません

ここは多くの記事が触れていないところなので、先に正直に書いておきます。時給1,016円で週20時間働くと、月の賃金はおよそ8.8万円になります。
つまり最低賃金が1,016円を超えた時点で、週20時間以上働く人は自動的に賃金要件も満たしている状態です。

裏を返すと、10月に賃金要件がなくなっても、それによって新しく加入対象になる人はごく限られます。変わるのは「対象者が増えること」ではなく、判定のやり方が金額から時間ひとつに変わることです。

▶ それでも実務では3つ楽になります
通勤手当や精皆勤手当を除いた「所定内賃金」を毎回計算して8.8万円と比べる作業が不要になります。
「8.8万円を超えないように」という金額基準のシフト調整が意味を失い、話が週の時間だけに一本化されます。
月によって支給額が上下する人でも、契約が週20時間以上かどうかで判定がぶれなくなります。

例外:最低賃金の減額特例を受けている場合

厚生労働省の同じリーフレットには、例外も明記されています。
最低賃金法には一定の場合に最低賃金の減額を許可する特例があり、この特例の対象となる短時間労働者のうち月額賃金が8.8万円未満である方は、原則として社会保険に加入しないことになります(申し出により任意で加入することは可能です)。
該当者がいる会社は、この点だけ社会保険労務士に確認してください。

厚生労働省「社会保険適用拡大 特設サイト」 ➡

自社は対象になる?「従業員51人以上」の数え方といつから対象か

賃金要件がなくなっても、企業規模の条件は残ります。2026年10月時点で対象になるのは、従業員51人以上の会社です。ここから段階的に対象が広がっていきます。

時期 対象になる会社の規模 従業員30名の会社は
現在(2026年9月) 従業員51人以上 対象外
2027年10月から 従業員36人以上 対象外
2029年10月から 従業員21人以上 対象になる
2032年10月から 従業員11人以上 対象
2035年10月から 従業員10人以下も含め全事業所 対象

段階的な拡大

つまり従業員30名前後の会社は、2026年10月の改正では直接の対象になりません。対象になるのは2029年10月です。
「うちは関係ない」で終わらせるのではなく、3年後に必ず来ると分かっている作業だと捉えるのが正しい読み方です。

「従業員数」は全従業員の人数ではありません

ここを取り違えている会社が本当に多いところです。
日本年金機構の説明では、特定適用事業所とは「1年のうち6月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業等」とされています。

数え方の論点 正しい扱い
数える対象 厚生年金保険の被保険者の数(すでに社会保険に入っている人)
短時間労働者 数に含めない
判定の単位 事業所ごとではなく、法人単位(同じ法人番号)で合計する
期間の見方 1年のうち6か月以上、51人以上になることが見込まれるかどうか
⚠ ここで起きやすい勘違い
パート・アルバイトを全部足して「うちは60人だから対象」と判断してしまう。実際には社会保険に入っている正社員などの数で数えるため、対象外ということがあります。
逆に、支店ごとに20人ずつで「どこも51人未満だから対象外」と判断してしまう。法人単位で合計するため、対象になることがあります。

個人事業所も2029年10月から対象が広がります

法人ではなく個人事業所として運営している場合も、対象が広がります。
現在は法律で定める17業種のうち、常時5人以上を使用する個人事業所が対象ですが、2029年10月からは、農業・林業・漁業・宿泊業・飲食サービス業などの業種にも対象が広がります。
ただし、2029年10月の時点ですでに存在している事業所は当分の間、対象外とされています。5人未満の個人事業所は、現行どおり対象外です。

日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」 ➡

これからの判定は「週20時間」だけ。ただし実績の時間ではありません

ここがこの記事でいちばんお伝えしたいところです。判定に使う「週20時間」は、実際に働いた時間ではありません。日本年金機構は、週の所定労働時間を次のように定義しています。

週の「所定労働時間」とは、就業規則、雇用契約書等により、その者が通常の週に勤務すべき時間のことです。
(出典:日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」)

つまり、タイムカードの実績を集計しても判定はできません。見るのは雇用契約書と就業規則に書いた時間です。
勤怠システムに実績しか入っていない会社は、この時点で必要な数字を持っていないことになります。

週単位で決まっていないときの換算方法

「1か月○時間」「1年で○時間」という契約の場合は、次のように週に換算します。これも日本年金機構が計算方法を示しています。

契約の決め方 週の所定労働時間の出し方 計算例
1か月単位で決めている 1か月の所定労働時間 ÷ (52÷12) 月87時間 → 87÷4.333 = 約20.1時間
1年単位で決めている 1年の所定労働時間 ÷ 52 年1,040時間 → 1,040÷52 = 20.0時間
短期的・周期的に変動する その周期における1週間の平均 4週で84時間 → 84÷4 = 21.0時間
▶ 実務での使い方
「1か月87時間」という契約は、週に直すと約20.1時間です。月の総時間だけで管理していると、20時間を超えていることに気づけません。
特定の月の所定労働時間に例外的な長短がある場合は、その月を除いて算定するとされています。繁忙期だけ長い契約は、社会保険労務士に確認してください。

残業は原則含まないが、常に発生していると含むことがある

厚生労働省の特設サイトには、注意書きとして「残業時間は原則含みませんが、常に残業が発生している場合などは、週の所定労働時間の算出に含むことがある」と書かれています。

これが実務でいちばん危ないところです。契約は週18時間なのに、人手不足でほぼ毎週22時間働いている、という人は多くの会社にいます。
この状態を「契約は18時間だから対象外」と処理し続けると、あとから指摘を受ける可能性があります。

▶ ここは勤怠システムの出番です
契約上の所定労働時間と、直近3か月の週平均の実績を並べて表示できれば、乖離している人がその場で分かります。
多くのクラウド勤怠管理システムには、従業員ごとに契約上の所定労働時間を登録する欄があります。まずその欄が埋まっているかを確認してください。
乖離が常態化している人は、社会保険の判定より先に、契約そのものを実態に合わせるべきかどうかの判断が必要です。

契約の見直し

勤怠・シフト・給与システムのどこを直す?

ここからが情シス・総務の作業です。社会保険の話は給与ソフトだけの問題だと思われがちですが、判定に使う数字はそのほとんどが勤怠・シフト側にあります。直す場所を一覧にします。

直す場所 何を直すか よくある漏れ方
雇用契約書・労働条件通知書 週の所定労働時間を数字で明記する 「シフトによる」としか書いておらず、週何時間の契約なのかが決まっていない
勤怠システムの従業員マスタ 契約上の所定労働時間を登録する 実績だけ管理していて、契約時間を入れる欄を一度も使っていない
シフト作成の画面 週合計が20時間を超えたら分かるようにする 月の合計しか見ておらず、週単位で誰も見ていない
給与システムの社会保険設定 加入区分・標準報酬月額・保険料の控除設定 10月支給分から控除が始まるのに、9月中に設定していない
就業規則 短時間勤務者の所定労働時間の定め 何年も改定しておらず、実態と合っていない
求人票・募集要項 週の所定労働時間の表示 「週20時間未満」で募集したのに、入社後のシフトで超えている
人事データの保管場所 誰が見られるかの権限 給与や保険料の一覧が、全員の見える共有フォルダに置かれている
届出 日本年金機構等への被保険者資格取得届 加入対象になったのに、届出を出し忘れる

厚生労働省のリーフレットにも、「週20時間以上働く方については、日本年金機構等に被保険者資格取得届の提出が必要です」と明記されています。システムを直しただけでは完了しません。

勤怠システムに「契約上の所定労働時間」の欄はありますか

今日すぐできる確認として、いちばん効くのはこれです。勤怠管理システムの従業員設定を開いて、契約上の所定労働時間を入れる欄があるか、そして実際に全員分が埋まっているかを見てください。

当社にご相談いただく会社でも、勤怠システムは入っているのにこの欄が空欄のまま運用されているケースがよくあります。打刻と残業計算だけに使っていると、契約時間は一度も必要にならないためです。
この欄が埋まっていれば、対象者の洗い出しは検索1回で終わります。

勤怠管理システム 勤革時(きんかくじ)を見る ➡

jinjerの勤怠管理システムを見る ➡

シフト表は「月合計」ではなく「週合計」で見る

飲食・小売・クリニックなど、シフトで人を回している会社で最も多い失敗がこれです。月の合計時間だけを見ていると、ある週だけ22時間、別の週は16時間、という状態に気づけません。
判定は週単位なので、シフト表の側に週合計の行を必ず置いてください。

▶ そのまま社内ルールにできる3行
シフト表には週ごとの合計時間の行を必ず作る。
週20時間を超える人は、事前に総務へ連絡する。
20時間未満で契約している人に20時間を超えるシフトを入れない。入れる必要があるなら契約を変える。

給与システム側でやること

給与システムでは、加入対象になった人の社会保険の設定を9月中に済ませておきます。社会保険料は資格を取得した月から発生し、事業主は前月分の保険料を当月の給与から控除するのが原則です。
10月1日に資格を取得した人であれば、10月分の保険料を11月に支払う給与から控除する形になります。
自社の締め日・支払日によって実際の月がずれるため、最初の1人が出る前に給与担当と決めておいてください。控除のタイミングを取り違えると、後から本人に説明し直す手間が発生します。

▶ 給与システムで確認する4か所
加入区分(社会保険に加入する人/しない人)が従業員ごとに設定できるか。
標準報酬月額が登録できるか。資格取得時は、契約上の月額報酬の見込みから決めます。
健康保険の料率が、自社の都道府県のものになっているか。全国平均のままだと金額がずれます。
介護保険(40歳以上65歳未満)の対象者が正しく設定されているか。誕生日で自動的に切り替わるかを確認します。

低コストのクラウド会計ソフト freee会計を見る ➡

担当者の確認

業種によって、影響の出方がまったく違います

同じ「週20時間」でも、どういう働き方をしている人が多いかによって、会社が受ける影響の大きさは変わります。相談の多い業種で整理します。

業種 影響の出方 先に手を打つところ
飲食・小売 週の時間が週によって大きく動くため、境界にいる人が多い シフト表に週合計の行を入れ、20時間を超えたら分かるようにする
クリニック・歯科 午前だけ・午後だけの勤務が多く、週18〜22時間に集中しやすい 契約上の所定労働時間を1人ずつ確認し、実態と合っているかを見る
介護・福祉 人手不足で、契約より長く働いてもらっている人が多い 契約と実績の乖離を洗い出し、契約そのものを見直すかを判断する
製造・物流 繁忙期だけ時間が伸びるため、年単位の契約になっていることがある 1年単位の所定労働時間を52で割って、週に換算して確認する
事務・士業 週の勤務日数と時間が固定されていることが多く、判定は明確 雇用契約書に週の所定労働時間が数字で書かれているかを確認する
▶ いちばん厄介なのは「契約が決まっていない」パターン
業種を問わず、最も対応に時間がかかるのは、雇用契約書に「シフトによる」とだけ書かれていて、週何時間の契約なのかが決まっていない会社です。
この場合、社会保険の判定以前に、契約の内容を決め直すところから始める必要があります。人数が多いほど時間がかかるので、対象になる年より前に着手してください。

会社の負担はいくら増える?

対象者が1人増えると、会社の負担はいくら増えるのかを具体的に出しておきます。社会保険料は労使折半が基本で、これに事業主だけが負担するものが加わります。

保険の種類 料率 会社の負担
厚生年金保険 18.30% 半分(9.15%)
健康保険(協会けんぽ 令和8年度 全国平均) 9.90% 半分(4.95%)
子ども・子育て支援金 0.23% 半分(0.115%)
子ども・子育て拠出金 0.36% 全額
介護保険(40歳以上65歳未満) 1.62% 半分(0.81%)

健康保険の料率は都道府県ごとに異なります。協会けんぽは令和8年度の平均保険料率を0.1%引き下げて9.90%としています。実際の金額は、自社の都道府県の料額表で確認してください。

時給1,177円で週20時間働く人を1人加入させると

全国平均の最低賃金1,177円で週20時間働く人を例にします。
月額はおよそ102,000円(1,177円×20時間×52週÷12か月)になり、標準報酬月額は104,000円の等級に入ります。
40歳未満・協会けんぽ全国平均で計算すると次のとおりです。

内訳 月額の保険料 うち会社負担
厚生年金保険(18.30%) 19,032円 9,516円
健康保険(9.90%) 10,296円 5,148円
子ども・子育て支援金(0.23%) 239円 120円
子ども・子育て拠出金(0.36%) 374円 374円(全額)
会社負担の合計 約15,100円/月
新しく加入する人数 会社負担の年額(概算)
3名 約55万円
5名 約91万円
10名 約182万円
20名 約364万円
⚠ 金額だけで判断しないでください
「負担が増えるからシフトを週20時間未満に抑える」という調整は、一見すると節約に見えます。
ただし1人あたりの時間を削ると、同じ仕事を回すために人数を増やすことになり、採用と教育の手間が増えます。
本人にとっては将来の年金が増え、傷病手当金や出産手当金の対象にもなります。説明の仕方によって、定着率に差が出ます。
上の金額は概算です。都道府県の料率・年齢・実際の標準報酬月額によって変わります。正確な金額は社会保険労務士または年金事務所にご確認ください。

全国健康保険協会「令和8年度保険料率のお知らせ」 ➡

新しく加入する人の保険料には3年間の軽減措置があります

これはあまり知られていませんが、負担の話をするときに必ず出しておきたい制度です。
年金制度改正法では、企業規模要件の見直しなどにより新たに加入対象となる短時間労働者について、3年間、事業主の追加負担により社会保険料の負担を軽減できる特例的な措置が設けられています。
そして事業主が追加負担した保険料は、その全額を制度全体で支援するとされています。

標準報酬月額(年額換算) 本人の保険料負担
8.8万円(約106万円) 本来の負担の25/50
9.8万円(約118万円) 本来の負担の30/50
10.4万円(約125万円) 本来の負担の36/50
11万円(約132万円) 本来の負担の41/50
11.8万円(約142万円) 本来の負担の45/50
12.6万円(約151万円) 本来の負担の48/50
13.4万円(約161万円) 本来の負担の50/50(軽減なし)

3年目は軽減割合が半減します。また、労使合意に基づいて任意に社会保険を適用する場合でも、この支援措置を活用できるようにするとされています。
ただし、どの範囲の人がこの軽減の対象になるかは運用の細部が示される部分もあるため、自社の対象者について適用できるかは年金事務所または社会保険労務士にご確認ください。
従業員への説明では「手取りが減ります」だけで終わらせず、この軽減があることをあわせて伝えると、話の受け止められ方が変わります。

厚生労働省「短時間労働者の社会保険の加入拡大のポイント」(PDF) ➡

51人未満の会社でも「任意で加入する」選択肢があります

企業規模の条件を満たさない会社でも、社会保険に加入させることはできます。
厚生労働省のリーフレットには「従業員の2分の1以上の同意があれば、短時間労働者も社会保険に加入することができます」と明記されています(任意特定適用事業所)。

検討する価値があるケース 理由
求人で他社と競合している 社会保険ありは、パート・アルバイトの応募で明確な差になる
週20時間前後の人が多い 先に制度を整えておけば、2029年10月に慌てなくて済む
扶養の範囲を気にせず働きたい人がいる 働き控えがなくなり、シフトが組みやすくなる
▶ 当社のご相談での実感
「保険料が増えるから入れたくない」というご相談は多いのですが、実際に計算してみると、人手不足で募集広告を出し続ける費用のほうが大きかった、というケースが少なくありません。
先に決めるべきは金額ではなく、週20時間を超える人を何人にするかという体制の話です。そこが決まると、保険料は自動的に決まります。
増える保険料をどこで吸収するかという相談も多く、いちばん多い回答は「使っていないクラウドの契約を減らす」です。人数分払っているのに使われていないライセンスは、どの会社にも数本あります。
見直し先 年間で減らせる目安(30名規模)
使っていないクラウドのライセンス 10万〜50万円
複合機のカウンター料金・保守契約 10万〜40万円
固定電話・回線などの通信費 5万〜30万円
紙の集計・転記にかかっている時間 時給2,500円換算で年30万円前後
▼ あわせて読みたい

通信費のコスト削減策10選 ➡

「130万円の壁」と19歳〜23歳の150万円はどうなる?

社会保険に自分で入るかどうかとは別に、家族の扶養に入っている人にとっては「130万円の壁」があります。こちらも取り扱いが変わっています。

一時的に130万円を超えても、事業主の証明で扶養に残れます

厚生労働省は、人手不足による労働時間の延長などで一時的に年収が130万円以上になった場合について、
課税証明書・給与明細書・雇用契約書などに加えて「一時的な収入である旨の事業主の証明」を添付することで、原則として連続2回までは引き続き扶養に入り続けることが可能としています。
この取扱いは恒久化されました。

▶ 会社側がやること
繁忙期にシフトを増やしてもらうとき、「今年だけ130万円を超えるかもしれない」と本人から相談されたら、事業主の証明を出せることを伝えてください。
証明を出すかどうかは会社の判断になるため、誰が判断して誰が発行するかを先に決めておくとスムーズです。

19歳以上23歳未満は150万円未満に引き上げられました

所得税法の特定扶養控除の見直しにあわせて、扶養認定を受ける方(配偶者を除く)が19歳以上23歳未満である場合の年間収入要件が、150万円未満に引き上げられました。
学生アルバイトを多く雇っている会社では、これまでより長く働いてもらえる余地が広がります。

▶ 「税金の壁」とは別の話です
この記事で扱っているのは社会保険(健康保険・厚生年金)の話です。所得税や住民税がかかり始める金額、配偶者控除・配偶者特別控除の金額とは別の制度なので、混ぜて説明すると必ず混乱します。
従業員から「いくらまで働けますか」と聞かれたときは、社会保険の話(週20時間)と税金の話(年収)を分けて答えてください。税金側の具体的な金額は、顧問税理士にご確認ください。

厚生労働省「年収の壁」への対応 ➡

対象になった人への説明で、いちばん揉めるところ

制度とシステムを整えても、最後に残るのが本人への説明です。社会保険に加入すると手取りが減るため、事前の説明なしに10月を迎えると、「話が違う」という相談が総務に集中します。

説明のときに伝えるべきなのは、減る話と増える話の両方です。次の表は、そのまま社内説明の資料に使える形にしています。

本人にとっての変化 内容
手取り 保険料の本人負担分が給与から引かれる(新しく加入する人は3年間の軽減あり)
将来の年金 国民年金だけのときより、厚生年金が上乗せされて増える
病気やケガで休んだとき 傷病手当金の対象になる(国民健康保険にはない給付)
出産で休んだとき 出産手当金の対象になる
国民健康保険・国民年金の保険料 自分で払っていた人は、その支払いがなくなる
扶養に入っていた人 配偶者の扶養から外れ、自分の保険証になる
▶ 説明の順番を間違えないでください
先に「手取りが減ります」だけを伝えると、その時点で話が止まります。傷病手当金と出産手当金は国民健康保険にはない給付なので、ここを先に伝えると受け止め方が変わります。
国民健康保険と国民年金を自分で払っていた人は、保険料の総額ではむしろ下がることがあります。個別に試算して見せると納得が早いです。
説明は全体朝礼ではなく、対象になる人だけを集めて15分取るほうが質問が出ます。人数が少ないうちに一度やっておくと、2029年に人数が増えたときも同じ資料が使えます。

届出は電子申請でできます

被保険者資格取得届などの社会保険の手続きは、e-Gov電子申請やマイナポータル、または対応した給与・人事労務システムから電子的に提出できます。
対象者が一度に何人も出る局面では、紙で出すより手間が減ります。

提出方法 向いているケース 注意点
窓口・郵送 対象者が1〜2名で、年に数回しか発生しない 控えの保管と、提出したかどうかの管理が属人的になりやすい
e-Gov電子申請 自社で完結させたい 電子証明書またはGビズIDの準備が必要
給与・人事労務システムから連携 対象者が多い/今後も継続して発生する システムが電子申請に対応しているかを事前に確認する

すでにクラウドの給与・人事労務システムを使っている会社は、電子申請の機能が契約に含まれていないかを先に確認してください。
追加費用ゼロで使える状態なのに、使っていないというケースがよくあります。

バックオフィスがオールインワンの会計ソフト マネーフォワードを見る ➡

総務・情シスが踏みやすい落とし穴

落とし穴 正しい考え方
実際に働いた時間で判定してしまう 判定するのは雇用契約上の所定労働時間。実績ではない
月の合計時間だけを見ている 判定は週単位。週20時間で見る
契約書に「シフトによる」としか書いていない 週何時間の契約なのかを数字で決めて書く
残業を全部無視している 常に残業が発生している場合は所定労働時間に含むことがある
通勤手当を入れて8.8万円を計算していた 通勤手当・精皆勤手当・家族手当は元々除外。10月以降はこの計算自体が不要
従業員数を全従業員で数えている 厚生年金保険の被保険者数で数える。短時間労働者は含まない
「51人未満だからうちは無関係」で止めている 2027年10月から36人以上、2029年10月から21人以上が対象になる
保険料や給与の一覧が全員の見える場所にある 人事データは閲覧できる人を絞る。共有フォルダの権限を先に見直す

最後の1行は情シスの担当領域です。社会保険の対応をすると、対象者一覧・標準報酬月額・保険料といった資料が新しく作られます。
これを普段使っている共有フォルダにそのまま置くと、全社員が見られる状態になりがちです。作る前に、置き場所と閲覧できる人を決めておいてください。

内部不正による情報漏えいと退職者の持ち出し対策(c-compe) ➡

システムの入れ替えに補助金は使える?

勤怠管理システムや給与計算システムを新しく導入する場合は、補助金が使える可能性があります。ただし、すでに使っているシステムの設定を変えるだけでは対象になりません。

制度 使えるケース 注意点
デジタル化・AI導入補助金 勤怠・給与・人事労務のシステムを新しく導入する 登録されたITツールが対象。交付決定前に発注すると対象外
業務改善助成金 賃上げとあわせて設備投資をする 事業場内最低賃金の引き上げが前提。発効日の前日までに引き上げが必要
中小企業省力化投資補助金 省人化につながる設備を入れる 単価50万円以上の機械装置等の設備投資が必須。ソフト単体では要件を満たしにくい
自治体の補助金 東京都など、独自のデジタル化支援 年度ごとに要件が変わるため、公募要領を必ず確認

システムではなく「人」に使える助成金もあります

システムの導入とは別に、短時間労働者の社会保険加入や労働時間の延長そのものを支援する助成金もあります。
厚生労働省のキャリアアップ助成金には「社会保険適用時処遇改善コース」と「短時間労働者労働時間延長支援コース」が用意されています。

⚠ 期限に注意してください
厚生労働省は、キャリアアップ助成金「社会保険適用時処遇改善コース」について、令和8年3月31日までに短時間労働者を新たに被用者保険に適用させるとともに、収入増加の取組を行った事業主が対象としています。
助成金は要件も期限も年度ごとに変わります。使えるかどうかの判断は、必ず最新のパンフレットを確認するか、社会保険労務士にご相談ください。
⚠ 補助金でいちばん多い失敗
交付決定の前に発注・契約・支払いをしてしまうと、対象外になります。「10月に間に合わせたいから先に契約する」が、いちばん多い取りこぼしです。
要件は年度ごとに変わります。最新の公募要領を確認し、判断がつかない場合は専門家にご相談ください。

デジタル化・AI導入補助金 公式サイト ➡

今日からできる3ステップ(すべて0円)

ステップ やること 所要時間
STEP1 勤怠システムを開き、契約上の所定労働時間の欄が全員分埋まっているかを見る 15分
STEP2 週の所定労働時間が18〜22時間の人を書き出す(境界にいる人の一覧をつくる) 30分
STEP3 その人たちの直近3か月の週平均の実績を並べ、契約と乖離していないか確認する 30分
▶ 20名程度までならスプレッドシートで足ります
従業員名・雇用形態・契約上の週の所定労働時間・直近3か月の週平均実績・判定(20時間以上か)の5列だけあれば、判定の一覧はつくれます。
判定の列は「=IF(契約時間>=20,”該当”,””)」のような式を1本入れるだけです。条件付き書式で該当行に色を付けておくと、毎月見直すときに探す手間が消えます。
この一覧をつくってから勤怠システムを検討すると、どの機能が本当に必要かが具体的に判断できます。

この3つを終えると、自社に何人の境界事例がいるのかが数字で分かります。
従業員51人以上の会社はそのまま10月の対応に進めますし、50人以下の会社でも、2029年10月に向けて何を直すべきかがこの一覧から見えてきます。

そして、この一覧はそのまま勤怠システムや給与システムの相見積りを取るときの資料になります。
「対象になりそうな人が何人いるか」が分かっていない状態で見積りを取ると、各社が違う前提で提案してくるので比較ができません。

よくある質問

Q. 従業員30名の会社ですが、2026年10月に何かやることはありますか?

A. 直接の対象にはなりません。対象になるのは従業員51人以上の会社で、30名規模は2029年10月からです。
ただし判定に使う「契約上の所定労働時間」が勤怠システムに入っていない会社が多いため、今のうちに整えておくと、3年後の作業がほぼゼロになります。

Q. 週20時間未満に抑えれば、社会保険に入れなくて済みますか?

A. 契約上の所定労働時間を20時間未満にすれば、その条件は満たしません。
ただし常に残業が発生している場合は所定労働時間に含むことがあるとされているため、実態が週20時間を超え続けている状態は避けてください。個別の判断は社会保険労務士にご確認ください。

Q. 保険料の負担が増えるぶん、時給を下げることはできますか?

A. 最低賃金を下回る時給にすることはできません。また2026年10月からは全国平均1,177円へ最低賃金が引き上げられるため、実際には時給を上げながら社会保険料も負担する形になります。
コストは時給ではなく、業務そのものを減らす方向で見直すのが現実的です。

Q. 勤怠システムを入れていません。まず何から始めればよいですか?

A. 最初にやるのは契約上の所定労働時間を1か所にまとめることです。人数が20名程度までなら、スプレッドシートで従業員ごとの契約時間と週の実績を並べるだけでも判定できます。
そのうえで、シフトの作成と打刻の手間が大きい場合にシステム化を検討するのが順番です。

まとめ

論点 結論
2026年10月に変わること 月額8.8万円という賃金要件が撤廃される予定
新しく加入する人 賃金要件の撤廃だけでは、ほとんど増えない
本当の判定基準 雇用契約上の週の所定労働時間が20時間以上かどうか
直接の対象 2026年10月時点では従業員51人以上の会社
30名規模の会社 2029年10月から対象。今のうちに契約時間を整える
最初に直す場所 勤怠システムの「契約上の所定労働時間」の欄
会社の負担 1人あたり月およそ15,100円(標準報酬月額104,000円の場合)
忘れやすいこと 被保険者資格取得届の提出と、人事データの閲覧権限

社会保険の適用拡大は、制度の話として読むと「いつから何人が対象か」で終わってしまいます。
ただ実際に手を動かす段になると、必要な数字は雇用契約書と勤怠システムの中にあり、そこが整っていない会社ほど直前に慌てることになります。

アーデントでは、勤怠管理システムや給与・会計のクラウド化について、補助金の活用も含めてご相談を承っています。
「うちは対象になるのか」「今の勤怠システムで判定できるのか」といった段階でもかまいません。現状をお伺いしたうえで、必要のないものは必要ないとお伝えします。

お問合せはこちら ➡


株式会社アーデントは、デジタル化・AI導入補助金の支援事業者を行っております!



アーデントからデジタル化・AI導入補助金を使ってクラウドツールを導入するメリットは以下の通りです。

メリット①対象ツールを2年間、半額、もしくは1/4で利用可!

メリット②会計、経費精算、請求書処理、受発注ツール導入なら、PCやタブレットの購入も補助が受けられ半額!

メリット③補助期間終了後は、公式価格よりお値引き!

メリット④各種IT活用、DX、保守サポートでより貴社のIT化を促進、生産性を向上します!




【弊社取り扱いクラウドツール】

🔹オフィス・グループウェア:  Google Workspace※、Microsoft365、desk'nets NEO※
🔹ノーコード業務改善:kintone、Zoho※、楽楽販売、JUST.DB※、サスケworks
🔹コミュニケーション:  サイボウズオフィス、Garoon、Chatwork、LINE WORKS、zoom
🔹会計・経費管理:  マネーフォワード、freee、楽楽精算、楽楽明細、楽楽請求、invox
🔹電子契約・文書管理:  freeeサイン、クラウドサイン、GMOサイン、Adobe Acrobat、box
🔹セキュリティ対策:  sophos、SentinelOne、ESET、トレンドマイクロ、CloudGate UNO
🔹バックアップ:  syscloud、Avepoint、veeam
🔹RPA・自動化:  RoboTANGO、DX-Suite、Yoom※、バクラクシリーズ
🔹勤怠・労務管理:  勤革時、楽楽勤怠、マネーフォワード
🔹物流・在庫管理:  ロジザードZERO
🔹教育・マニュアル作成管理:  iTutor、NotePM、leaf
🔹PBX・電話システム:  INNOVERAPBX※、MOTTEL※、ZoomPhone※
🔹端末管理:LANSCOPE、clomo、ISM Cloud One
🔹リモートデスクトップ:RemoteOperator在宅
🔹受付ipad:ラクネコ※
🔹タスク管理、その他:Adobe creative cloud、Notta、JOSYS、backlog※
など



※こちらのツールは補助期間終了後の値引不可

また、上記以外のツールも取り扱いできるものが多々ありますので、一度ご相談ください。





デジタル化・AI導入補助金2026の詳細、お問合せはお電話頂くか、以下の記事を御覧ください↓

デジタル化・AI導入補助金お問合せ:03-5468-6097






以下の動画では、採択のポイントや申請にあたっての注意点などを詳しく解説していますので、
あわせてご覧ください!




関連記事

ICTオフィス相談室 最新記事

おすすめ記事