クラウドPBXの音質改善に関係するコーデックとは?

「クラウドPBXの音質を改善したい」「コーデックって何のこと?選び方は?」とお悩みの方向けに、本記事では クラウドPBXのコーデックの種類・特徴・音質実験結果を解説します。コーデックの選び直しは、ネット回線を変えなくても音質を改善できる手軽な施策です。
結論を3行で言うと、コーデックは 音声をデジタル化する際の圧縮方式のことで、選び方で音質とデータ量のバランスが変わります。音質重視ならG.711 μ-law、安定性重視ならGSM。市販ソフトフォンを使うクラウドPBXなら設定で切替可能なため、現状の音質に不満がある場合はまず試す価値があります。
クラウドPBXの音質改善方法全般については以下の記事も参考にしてください。

コーデックとは何ですか?
クラウドPBXにおけるコーデックとは、音声をデジタルデータに変換する際の圧縮方式のことです。画像でいうJPGやGIFと同じく、音声にも複数の圧縮方式があり、それぞれ音質とデータ量のトレードオフが異なります。
Wikipedia の定義では以下のようになっています。
コーデック (Codec) は、符号化方式を使ってデータのエンコード(符号化)とデコード(復号)を双方向にできる装置やソフトウェアなどのこと。また、そのためのアルゴリズムを指す用語としても使われている。コーデックには、データ圧縮機能を使ってデータを圧縮・伸張するソフトウェアや、音声や動画などのデータを別の形式に変換する装置およびソフトウェアが含まれる。
選ぶコーデックによって音質と通信量が変わります。音質が良いコーデックほどデータ量が大きくなり、通信時に音声が途切れやすくなります。逆に 音質が低いコーデックほどデータ量が軽くなり、音声が途切れにくくなります。使う環境(オフィスの回線品質・モバイル電波)によって使い分けが必要です。
なお、コーデックを選べるのは、「Ground wire」「GS WAVE」「Acrobits Softphone」「Zoiper」など市販のスマホアプリやPCソフトフォンを使うクラウドPBXに限られます。独自アプリ・専用電話機のみで運用するサービスでは、コーデックがあらかじめ固定されているケースが多いです。
通信規格の公式情報については、総務省の ICT政策ページ も参考になります。
クラウドPBXでよく使われるコーデックは?
クラウドPBXで利用されるコーデックには、G.711 μ-law、G.711 A-law、G.722、GSMなどがあります。それぞれの特徴を整理すると以下の通りです。
| コーデック | 音質 | データ量 | 主な用途・特徴 |
|---|---|---|---|
| G.711 μ-law | ◎ | 大 | 日本・北米標準。光電話・ISDN・Skype 等で利用 |
| G.711 A-law | ◯ | 大 | 主にヨーロッパで採用。μ-lawとほぼ同等の音質 |
| G.722 | ◎+ | 大 | 通常電話の2倍の帯域幅。テレビ会議で多用 |
| GSM | △ | 小 | 2G世代。日本では未使用だがデータ量が軽い |
G.711 μ-law
ITU-T が制定した方式で、圧縮特性に対数関数を用い、パラメータμに依存するコーデックです。光電話・ISDN回線の電話・Skypeなど 日本国内で最も標準的なコーデック。クラウドPBXでも標準対応している事業者がほとんどです。
G.711 A-law
G.711 μ-lawがアメリカ・日本で使われている方式なのに対し、G.711 A-lawはヨーロッパで主に採用されている方式です。音質はμ-lawとほぼ同等で、わずかにぼやけた印象という違いがあります。
G.722
ITU-T が勧告した広帯域音声符号化方式で、通常の電話インタフェースの2倍の帯域幅を持つため、音質が格段に向上しています。音質が良いので主に テレビ会議等で用いられることが多いコーデックです。
GSM
2G世代に属するコーデック。世界のほとんどの国・地域で使用されていますが、日本では使用されていません。データ量が軽いため、回線が不安定な環境での音切れ対策に有効です。
その他のコーデック
他にも様々なコーデック(OPUS、G.729 など)がありますが、日本のクラウドPBXでは対応していないケースが多いのが現状です。導入予定のクラウドPBXが対応しているコーデック一覧を必ず確認しましょう。
実際にコーデックを変えると音質はどう変わる?

当社の実際の測定では、コーデックを変えた際に 聞き比べで明らかに音質差が確認できました。INNOVERA PBX で利用可能だった3つのコーデックで実験した結果は以下の通りです。
実験環境
- ソフトバンク 4G回線
- INNOVERA PBX スマホアプリ Grandwire
- 電源を切った携帯にかけて、ソフトバンクの電波が届かないアナウンスを録音
G.711 μ-law の音質
音質は十分良いと感じました。携帯電話の音声のような印象です。
G.711 A-law の音質
μ-lawとほぼ同じ印象です。聞き比べてみると、μ-lawと比べて ほんの少しぼやけた感じがしました。
GSMコーデック の音質
やはり 少し固い印象の音がします。わずかに音が割れているような印象もありました。データ量が軽い分、音質では一歩劣る印象です。
聞き比べないと分かりにくいレベルですが、確かにコーデックによる音質の差はあります。音質を良くしたいならG.711 μ-law がおすすめですが、回線が不安定な環境では データ量が軽いGSMの方が途切れずに使えて快適です。
用途別に推奨されるコーデックの選び方は?
ネット環境とコーデックの組み合わせで最適解が変わります。「光回線・有線LANなら音質重視、モバイル電波・公衆Wi-Fiなら安定性重視」の原則で考えるとシンプルです。
- 光回線・有線LAN環境 → G.711 μ-law または G.722(音質重視)
- 4G/5Gモバイル電波 → G.711 μ-law(バランス)
- 格安SIM・公衆Wi-Fi・電波不安定環境 → GSM(音切れ回避優先)
- テレビ会議用途 → G.722(広帯域・高音質)
- 国内顧客向け業務電話 → G.711 μ-law(標準互換性が高い)
光ファイバーを高速化することで、より高音質のコーデックも快適に使えるようになります。詳細は以下の記事もご参考ください。

クラウドPBXのコーデックに関するよくある質問は?
クラウドPBXのコーデック選定でよく寄せられる質問をまとめました。
Q. コーデックを変えるだけで音質は変わりますか?
A. はい、変わります。G.711 μ-lawはデータ量が大きく音質が良好、GSMはデータ量が軽く音切れに強いなど、コーデックごとに音質とデータ量のバランスが異なります。当社の実測比較でも、聞き比べで明らかに音質差が確認できました。ネット環境に合わせてコーデックを選び直すと音質改善するケースが多いです。
Q. 自分のクラウドPBXでコーデックは変更できますか?
A. 「Ground wire」「GS WAVE」「Acrobits Softphone」「Zoiper」など 市販のスマホアプリやPCソフトフォンを使うクラウドPBXであれば、設定からコーデックを選択できます。逆に独自アプリ・専用電話機のみのサービスでは選べないことが多いです。
Q. ネット環境が悪い場合に推奨されるコーデックは?
A. GSMがおすすめです。データ量が軽いため、回線が不安定でも音声が途切れにくくなります。ただし若干音が固い・割れる傾向があるため、音質を妥協できる場合に限ります。
Q. 音質を最優先したい場合はどのコーデックを選ぶべき?
A. 音質最優先なら G.711 μ-lawか G.722がおすすめです。G.722は通常電話の2倍の帯域幅を持つためテレビ会議のような高音質を実現できますが、データ量が大きいため安定した光回線が前提となります。
Q. 光電話やISDNはどのコーデックを使っていますか?
A. 光電話・ISDN回線・Skypeなどは G.711 μ-lawを採用しています。日本国内で最も標準的なコーデックで、クラウドPBXでも標準対応している事業者がほとんどです。
まとめ:コーデック設定で音質はどこまで改善できる?
コーデックの選び直しは、ネット回線・端末・ルーターを変えずに音質を改善できる手軽な施策です。市販ソフトフォンを使うクラウドPBXであれば、設定からすぐに変更できます。
本記事のポイント
- コーデックは音声の圧縮方式で、音質とデータ量のトレードオフがある
- G.711 μ-law は日本標準・音質と安定性のバランスが良い
- G.722 はテレビ会議向けの高音質コーデック
- GSM は音質を妥協してでも音切れを避けたい環境向け
- 市販ソフトフォン利用クラウドPBXのみコーデック変更可能
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株式会社アーデント 代表取締役。2006年にオフィス専門不動産会社アーデントを創業。その後、オフィス賃貸仲介、ワークプレイス作りに10年以上携わり、合計500社以上のオフィス移転をサポート。2018年よりクラウドPBXを中心にネットワーク、通信分野を専門に400社以上の電話、ネット環境づくりをサポート。2022年より100以上のクラウドサービスの販売を開始。
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