Microsoft Power Appsとは?機能、メリット・デメリットを徹底解説
IT人材が不足しているとよく言われている現在、プログラミングの知識を必要としないノーコードやローコードと呼ばれるアプリ開発の手法が注目されています。
マイクロソフト社が提供している「Microsoft Power Apps」は、世界中の企業で導入されているローコードのアプリ作成ツールです。
本記事では、Microsoft Power Appsの機能、メリット・デメリットについて詳しく解説していきます。
Microsoft Power Appsとは
Microsoft Power Apps(以下、Power Appsと表記)とは、マイクロソフト社が提供しているローコード開発プラットフォームの「Microsoft Power Platform」のサービスのひとつです。
Microsoft Power Platformは下記の4つで構成されています。
Microsoft Power Platformのサービス一覧 | |
Power Apps | アプリケーションの開発 |
Power BI | データの分析 |
Power Virtual Agents | チャットボットの開発 |
Power Automate | 処理の自動化 |
※自動化がメイン機能のPower Automateについては、下記の記事で詳しく解説しています。
Microsoft Power Platformは、専門知識を持った開発者が現場にいなくても、アプリ開発や自動化処理、チャットボットの作成などをローコード(プログラミングはほとんど使わずに開発すること)で作成できるサービスです。
Power Appsは、アプリ開発を目的としたサービスであり、最低限のソースコードを記述することでアプリを作成できるようになります。
従来のアプリ開発では、プログラミングの知識・スキルを持ったITエンジニアの存在が不可欠でした。しかし、Power Appsを利用すれば、非エンジニアの方でもアプリを作成できるようになります。
Power Appsの特徴
Power Appsは、2016年11月にリリースされた比較的新しいサービスです。
Power Appsの特徴は、Webブラウザからでも利用できる点になります。PCへのインストール作業が不要であり、どのWebブラウザ、OSからでも利用可能です。また、MicrosoftストアからWindows用の「Power Apps Studio」をインストールする方法でも開発できます。
また、Microsoft AzureやTeamsなど、他のマイクロソフトの製品とも連携できるのも大きな魅力です。アプリ作成だけではなく、普段業務で使っているシステムとの連携や自動化なども可能となります。
Power Appsの料金
プラン | アプリごと | ユーザーごと | 従量課金 |
ライセンス | 1ユーザー1アプリの料金
(1人の人が特定の1つのアプリを使うケース向き) |
1ユーザーすべてのアプリの料金
(1人の人が数多くのアプリを使うケース向き) |
1 つのアプリ 1人のアクティブ ユーザーあたり
(複数メンバーがいれかわり、立ち代わりアプリを使うケース向き) |
月額(税別) | 540円 | 2,170円 | 1,120円 |
カスタムアプリの構築と実行 | 1つ | 無制限 | 1つ |
データベースへの接続 | 〇 | 〇 | 〇 |
データの保存と管理 | 〇 | 〇 | 〇 |
Microsoft Dataverseの使用 | 〇 | 〇 | 〇 |
Microsoft Dataverseの容量 | 50MB | 250MB | 1 GB |
Microsoft Dataverseのファイル容量 | 400MB | 2GB | 1 GB |
Power Appsのメリット
ここでは、Power Appsの主なメリットについて解説します。
メリット①プログラミングの知識がなくてもアプリを開発できる
一つ目のメリットは、プログラミングの知識がなくてもアプリを開発できる点です。
Power Appsでのアプリ作成は、パーツのドラッグ&ドロップやExcelに近い関数を使って開発します。そのため、Excelで利用する関数を理解できるぐらいのレベルであれば、スムーズにアプリ開発を行っていけるでしょう。
メリット②普段行っている業務を効率化・自動化できる
二つ目のメリットは、普段行っている業務を効率化・自動化できる点です。
Power Appsでは、普段業務を行っている場所でアプリ開発を行えるため、より業務効率化や自動化に繋がるアプリ開発を行いやすくなります。
例えば、業務を行う場所とアプリ開発を行う場所が異なる場合、現場のニーズに適さないアプリが完成するといったケースが稀に見られます。Power Appsは、現場に適したアプリを開発しやすくなるため、業務の効率化・自動化を実現できるでしょう。
メリット③短期間でコストをかけずにアプリ開発できる
三つ目のメリットは、短期間でコストをかけずにアプリ開発できる点です。
従来のアプリ開発では、サーバーの調達・設置やソフトウェアの準備など、開発環境の構築から始めなけれななりませんでした。Power Appsはクラウドツールであるため、自社で開発環境を構築するよりも時間・費用を掛けずに開発を始められます。
また、Microsoft 365の各アプリ内にあるデータの参照やインポート・エクスポートなどの連携も可能なため、普段Microsoft 365を利用している企業はよりスピーディーに開発を進められるでしょう。
メリット④microsoft365の製品を中心に様々なサービスと連携できる
ExcelやWord、Outlook、Teams、Formsなどの様々なmirosoft製品と連携が可能なのが強みです。また、Power Appsではコネクタという接続ツールが用意されてい、googleスプレッドシートなどの他社製品も含めて、簡単に連携が可能です。
現在業務で使っているアプリの自動化にもつなげられます。
メリット⑤Microsoft365ユーザーは無料で使える?
以下のプランを利用中なら、追加費用なくPower Apps for Microsoft 365というライセンスを利用が可能です。
● Office 365 E1
● Office 365 E3
● Office 365 E5
● Microsoft 365 Business Basic
● Microsoft 365 Business Standard
● Microsoft 365 Business Premium
● Microsoft 365 E3
● Microsoft 365 E5
● Microsoft 365 F3
ただ、Power Apps for Microsoft 365にはいくつか制限があります。主な制限としては以下の通りです。
● Dataverse を使うことができない。
● モデル駆動型アプリの構築はできない。
● プレミアムコネクタを使うことができない。
Microsoft365の料金プラン詳細は以下をご覧ください↓
Power Appsのデメリット
メリットが多いPower Appsですが、デメリットもいくつか存在します。
デメリット①アプリの開発方法や管理方法を整備する必要がある
Power Appsでは、プログラミングに関する知識が不要でアプリ開発できるのがメリットでしたが、IT部署以外でもアプリ作成できるため、管理がずさんになりやすいデメリットがあります。
管理が適切に行われていないと、アプリ作成者の不在時に修正などの対応が全くできなくなる事態へと繋がります。Power Appsでアプリを開発する際には、アプリの開発方法をチームで共有すること、管理体制を整備することが重要です。
デメリット②マイクロソフト社のセキュリティ対策に依存せざるを得なくなる
Power Appsでアプリ開発を行った場合、アプリやインフラ環境のセキュリティ対策はマイクロソフト社に依存する形になります。
マイクロソフト社は世界的な企業であり、高度なセキュリティ機能を提供している世界的な企業ですが、自社でセキュリティ対策に関与することは難しくなります。そのため、この点をデメリットに感じてしまうこともあるでしょう。
まとめ
今回は、Microsoft Power Appsの機能、メリット・デメリットについて解説しました。
Power Appsはプログラミングの知識がなくてもアプリ開発が可能です。また、普段使っているマイクロソフトの製品(Microsoft AzureやTeamsなど)とも連携できます。開発環境を準備する手間がなくスピーディーに開発できる点がPower Appsの大きなメリットだといえるでしょう。
実際にアプリ開発を行う際には、アプリ開発の手順・管理ルールの整備を徹底するようにしましょう。
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