クラウドPBXのシェア率はどれくらい?導入メリットや手順
クラウドPBXの導入を考えているが、どの程度の企業が導入しているのかわからないとお悩みではないでしょうか。実は、クラウドPBXを導入している企業は増加傾向にあります。
なぜなら、クラウドPBXに使うスマホが普及していたり、テレワークを採用する企業が増えていたりするからです。本記事では、クラウドPBXのシェア率にくわえて、メリット、デメリット、導入手順などを解説します。
クラウドPBXについて
クラウドPBXのシェア率を解説する前に、クラウドPBXについて理解を深める必要があります。そこでこの章では、クラウドPBXについて解説します。
従来のビジネスフォンとの違いやメリット、デメリットについても解説しているのでぜひ参考にしてください。
クラウドPBXとは
PBXとは、Private Branch Exchangeの略です。オフィス内にかかってきたりオフィスから発信したりする内線や外線をコントロールするシステムを指します。
つまりクラウドPBXとは、PBXのシステムをクラウド上に構築したシステムということです。たとえば、オフィス内の自分にかかってきた外線をオフィス内の違う人に振れるといった転送などができます。
先述したとおり、クラウドPBXはPBXの機能をクラウド上に構築したものです。そのため、インターネット環境があればPBXの機能を使えます。では、従来のビジネスフォン(PBX)とは、どういった違いがあるのでしょうか。
詳細は以下の記事を御覧ください↓
今までのビジネスフォンとクラウドPBXの違い
前の節で、従来のビジネスフォンのシステムをクラウド上に構築したものをクラウドPBXと説明しました。では、クラウド上に構築したことによる違いには、どういったものがあるのでしょうか。結論としては以下のとおりです。
● 固定電話機ではなくスマートフォンやタブレット、PCからも内線や外線をつなげられる
● 自宅やカフェなど、会社のオフィス以外の場所にいてもオフィスにかかってきた内線や外線を着信、発信できる
こういった違いによって、クラウドPBXには従来のビジネスフォンにはないメリットが生まれます。なお、メリットについては次の節で解説します。
メリット
クラウドPBXのメリットは以下の3つです。
● オフィス外でも会社番号を利用できる
● オフィス外にいる社員同士でも内線通話ができる
● 従来のビジネスフォンに比べて導入コストが低い
オフィス外でも会社番号を使えるため、外出先からも会社番号で取引先に発信できます。
従来のビジネスフォンのようにオフィスに戻ったり取り次いでもらったりすることがないため、社員や顧客の時間を無駄にすることがありません。
また、オフィス外にいる社員同士でも内線を利用できます。内線同士で通話できるため、通話料金がかからないという点もメリットです。
なお、クラウドPBXは、クラウド上にシステムを設けます。そのため、オフィス内に実機を置く必要がありません。本来、ビジネスフォンの実機を置くはずだったスペースを有効活用できるでしょう。
デメリット
クラウドBPXのデメリットは以下の3つです。
● 毎月費用が発生する
● 110番などの特定の番号には発信できない
● インターネット環境が悪いと音声に影響が出る
クラウドBPXは、毎月数千円から数万円の費用が発生します。長い目で見たら、クラウドBPXの方がコストは増えるでしょう。しかし、従来のビジネスフォンでもメンテナンス費用などの費用がかかります。そのため、デメリットとしてはそこまで大きなものではありません。
また、110番や119番などの緊急ダイヤルに電話がかけられないのも、クラウドBPXのデメリットです。したがって、緊急通報ナビなどのアプリをインストールして対策する必要があります。
なお、クラウドBPXはインターネットを介して通話を行うシステムです。そのため、音質はインターネット環境に左右されます。音質をきれいに保つためには、通信環境を整えなければいけません。
クラウドPBXの料金相場
クラウドPBXには、さまざまな特徴があります。では、料金相場はどのようになっているのでしょうか。導入にかかる費用と定期的にかかる費用にわけて解説します。まずは、導入にかかる費用の相場です。
項目 費用相場
電話機の購入費 10,000〜40,000円
サーバーの設定費 15,000〜50,000円
続いて、定期的にかかる費用の相場です。
項目 費用相場
電話料金 9〜50円/3分
基本利用料金 1,500〜2,500円/月
オプション(録音機能や自動音声機能など) 1,500〜8,000円/月
価格に幅があるのは、会社の規模によってクラウドPBXにかかる費用は異なるからです。従業員数が10人以下のような小規模の企業だと安くなり、従業員数が30人以上のような中小企業だと高くなるでしょう。くわえて、既存の機器を転用したりオプションを追加したりすると費用は変動します。
上記の表はあくまでも目安です。ベンダーの提示するプランをしっかりと確認しつつ、慎重に選ぶようにしてください。
クラウドPBXのシェア率と市場傾向
昨今、世の中のあらゆるものがクラウド化しています。PBXも例外ではありません。では現在、クラウドPBXのシェア率はどうなっているのでしょうか。この章では、市場の流れと合わせて解説します。
シェア率
クラウドPBXのシェア率は全体の1% です。これは、アメリカの調査機関であるParallels社が2011年に調査した結果となります。なお、企業の従業員数ごとに細分化すると以下のとおりです。
● 従業員数1〜9名:0%
● 従業員数10〜49名:3%
● 従業員数50〜250名:13%
2011年は、クラウドPBXが普及し始めて間もないころですので全体のシェア率も低くなっています。しかし、ここから1年後の2012年、従業員数が10人以上いる会社に限りシェア率は30%に増えています。なお、2013年以降のクラウドPBXのシェア率を記録しているデータは発表されていません。
普及率は増加傾向にある
クラウドPBXの普及率は増加傾向にあります。なぜなら、さまざまな業界でクラウド化が進んでいるからです。また、アジアのクラウドPBX市場は2020年に10億ドルを記録しています。
これらの理由により、クラウドPBXの普及率は右肩上がりになると予測されています。とはいえ2023年現在、クラウドPBXの正確なシェア率は発表されていません。
場合によっては、クラウドPBXに変わる製品の台頭などの理由でシェア率が下がってしまうこともあるでしょう。そのため、クラウドPBXを導入する際は、市場の流れやトレンドを意識することが重要です。
シェア率が増加傾向にある理由
シェア率が増加傾向にある理由は以下の3点です。
● スマホなどをビジネスフォンとして使用できる
● テレワークを取り入れる企業の増加
● 導入までに手間や時間がかからない
それぞれ、詳しく解説します。
スマホなどをビジネスフォンとして使用できる
1点目は、スマホなどをビジネスフォンとして使用できる点です。昨今、スマホの普及により、あらゆることがスマホ上でできるようになりました。
たとえば、インターネットでの検索や動画視聴、連絡、商品の購入などです。くわえて、持ち運びに便利なうえにメモ帳やカメラ機能までついています。
そのため、一定の年齢以上の人たちは必ずと言っていいほどスマホを持っています。クラウドPBXは、そうしたスマホにも対応しているシステムです。便利なスマホの機能のひとつとしてクラウドPBXを用いることができるため、シェア率が増加していると考えられます。
テレワークを取り入れる企業の増加
2点目は、テレワークを取り入れる企業が増加しているからです。昨今のパンデミックにより、企業は積極的にテレワークを採用しています。つまり、オフィス内でしか使えない従来のビジネスフォンの役割がなくなってきているということです。
一方でクラウドPBXは、オフィス外でも利用可能なので、自宅にいながらも内線や外線をつなげられます。そのため、在宅ワークを取り入れる企業にとって、クラウドPBXは必須となるでしょう。こうした背景から、テレワークを採用する企業が増加するにともなって、クラウドPBXも増加しているというわけです。
導入までに手間や時間がかからない
3点目は、導入までに手間や時間がかからないという点です。クラウドPBXはインターネット環境があれば利用できるため、すぐに導入できます。
また、従来のビジネスフォンは、オフィスに実機を設けたり実機に複数の電話機をつないだりしないといけないため、導入にコストがかかりました。くわえて、現代社会ではいつテレワークに移行するかわかりません。そのため、新しく設立される企業は、従来のビジネスフォンよりもクラウドPBXを導入する傾向にあります。
こうした背景があるため、クラウドPBXは増加傾向にあるというわけです。
クラウドPBXを導入するべき理由
クラウドPBXを導入するべき理由は以下の3点です。
● コスト削減につながる
● 多様な働き方ができる
● 拠点同士の連携効率がアップする
それぞれ詳しく解説します。
コスト削減につながる
クラウドPBXを導入することで、コストを削減できます。理由は、従来のビジネスフォンとクラウドPBXとでは、後者の方が導入費用が安いからです。
従来のビジネスフォンの場合、新たに電話環境を構築するとなると数十万〜数千万かかります。内訳としては、実機の購入費、工事費、メンテナンス費、管理費などです。大企業に設置するような大規模な実機だと、購入だけでも数百万円の費用がかかります。
一方、クラウドBPXの場合は、通話ができるようになるまでの設定にかかる費用のみです。価格にして数万円です。従来のビジネスフォンと同様にメンテナンス費用はかかりますが、月に数千円〜数万円程度です。
とはいえ、クラウドPBXを導入する場合でも、通話するためのデバイスの購入費用はかかります。しかし、もともと利用している社内デバイスがあれば、そのデバイスを利用することも可能です。新たにデバイスを購入する必要はありません。
多様な働き方ができる
クラウドPBXを導入することで、多様な働き方ができます。なぜなら、オフィス外でも利用できるからです。
従来のビジネスフォンは、実機をオフィス内に置き、有線を用いてそれぞれの電話機につなぐという仕組みでした。そのため、有線の届かない範囲では利用できません。こうした特徴から、外出先で外線を受け取れなかったり、オフィスに戻らないと内線を使えなかったりするため、働き方が限られていました。
一方、クラウドPBXの場合は、実機をクラウド上に構築するため、インターネットがつながる環境であればオフィス外でもシステムを利用できます。こうした特徴から、外出先でも内線を使えたり外出先から取引先へ会社番号を用いて連絡できるようになりました。働く範囲がオフィス内に限定されないため、テレワークやカフェなどでの仕事も可能になったというわけです。
拠点同士の連携効率がアップする
クラウドPBXを導入することで、拠点同士の連携効率がアップします。理由は、離れているオフィス同士でも内線として連絡を取り合えるからです。
従来のビジネスフォンの場合、同じオフィス内であれば内線で連絡を取り合えます。しかし、オフィスが離れていると、それぞれのオフィス同士、外線で連絡を取り合わなければいけません。外線の電話番号はそれぞれ異なるため、オフィスが複数あるとその分の電話番号を管理する必要があります。
一方、クラウドPBXの場合、オフィスが離れていても内線での連絡が可能です。複数の番号を管理する必要がありません。こうした理由から、拠点同士の連携効率がアップするというわけです。
クラウドPBXの導入手順
クラウドPBXの導入は以下の手順で行います。
● 現在の設備や利用環境を確認する
● 要件に合うベンダーを選定する
● 申し込み・契約と初期設定を行う
ひとつずつ解説します。
現在の設備や利用環境を確認する
はじめに、現在の設備や利用環境を確認してください。なぜなら、従来のビジネスフォンで用いていた機器の多くは、クラウドPBXにおいても用いることができるからです。
たとえば、インターネット環境や電話機、社用スマホなどはクラウドPBXに転用できます。これらを転用することで、購入の手間や費用を削減できるうえに、従業員が使い方を学ぶための時間も短縮できるでしょう。
また、クラウドPBXに対応しているデバイスは多く存在します。たとえば、スマホやタブレット、PCなどです。
どのデバイスを利用するのか、どれだけの数が必要なのかを確認しておかないと、過不足が生じる恐れがあります。従業員数が多いほど導入が複雑になるため、この工程はきちんと行いましょう。
要件に合うベンダーを選定する
続いて、要件に合うベンダーを選定してください。クラウドPBXを販売するベンダーは多く存在します。ベンダーごとにプランの内容や料金が異なるため、適当に選んでしまうと余計な費用がかかってしまいます。
とはいえ、費用面だけを見ても自社に欲しい機能を手に入れられるとは限りません。そのため、前の節で確認した自社の設備や利用環境をもとにベンダーを選びましょう。ポイントとしては以下のとおりです。
● 信頼に足るベンダーか確かめる
● クラウドPBXを利用する人数を確かめる
● 現在使っている機器を転用できるか確かめる
自社に必要な設備や環境を手に入れられるかつ、適正価格のベンダーを選ぶようにしてください。
申し込み・契約と初期設定を行う
最後に申し込み、契約、初期設定を行いましょう。もし、試用期間などがあれば積極的に活用して、申し込みや契約に進んでください。
プランの費用や内容を何度も確認したとしても、実際に使ってみたら思っていたものと違ったというケースもあります。余計な手間をかけないためにも、よく確認しておきましょう。
申し込み、契約を終えたら初期設定に進みます。多くの場合、初期設定はベンダーが行ってくれるでしょう。とはいえ、設定ひとつにしてもさまざまな要素が関わるため、どういった機能が欲しいのか、どういった使い方をしたいのかはベンダーにはっきりと伝えてください。
まとめ
クラウドPBXとは、クラウド上にPBXの機能を設けたシステムです。PBXとは、オフィス内にかかってきたりオフィスから発信したりする内線や外線をコントロールするシステムを指します。
従来のビジネスフォンであるPBXは、オフィス内にいないとシステムを利用できませんでした。しかし、クラウドPBXの場合は、オフィス外にいてもPBXのシステムの利用が可能です。つまり、自宅やカフェなどにいながらも外線や内線を利用できるということです。
こうしたシステムが普及したため、多くの企業は働き方の幅が広がりました。たとえば、テレワークなどです。
クラウドPBXはスマホが普及したり、導入に時間がかからないという理由でシェア率が増加傾向にあります。そのため、これからクラウドPBXを導入する企業は増えるでしょう。
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